私たちの生活や社会活動に欠かせないエネルギー。
コロナ禍や世界的な情勢不安により原料価格が高騰し、エネルギー自給率が低い日本にとっては大きな影響をもたらしています。一方で、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの取り組みが加速し、次世代エネルギーとして期待されています。
総合建設会社(ゼネコン)の大林組は、持続可能な社会の実現に向け、オフィスビルや商業施設、ダムや鉄道といった社会インフラなどの国内建設事業を中核に事業ポートフォリオの拡充を図っており、注力事業のひとつとしてグリーンエネルギー事業を推進しています。その一環として、2022年2月に稼働を開始した「大林神栖バイオマス発電所」では、木質ペレットやPKSを燃料とする発電事業に取り組んでいます。
ゼネコンである大林組が電気をつくるのはなぜか―これまで培ってきたノウハウや知見を生かし、新たな分野にチャレンジし次世代につないでいく、大林神栖バイオマス発電のサステナブルストーリーをご紹介します。
*1; バイオマスは、生物から生まれた資源のことで、森林の間伐材、家畜の排泄物、食品廃棄物など、さまざまなものが資源として活用されています。そのなかで、木材からなるバイオマスのことを「木質バイオマス」と呼びます。
輸入バイオマス専焼による発電
2022年2月、茨城県神栖市の鹿島臨海工業地帯で稼働を開始した「大林神栖バイオマス発電所」は、大林組としては、2018年12月に稼働した大月バイオマス発電所(山梨県大月市)に次ぐ国内2カ所目のバイオマス発電所となります。発電容量は、51.5MW(定格出力)で、約11万世帯の電力消費量*2に相当する規模です。隣接する鹿島港に届く、輸入バイオマス燃料を扱っていることが特徴です。輸入バイオマスの活用においては、年々需要が伸びている一方で、発生由来の証明が義務づけられるなど、持続可能性の確保やトレーサビリティの必要性が高まり、透明性をもって対応していく必要があります。同発電所では、独立した認証機関により持続可能性が認証された東南アジアや北米から輸入する木質ペレットや、パーム油を生産する過程で発生するアブラヤシの殻の残滓(ざんし)であるPKSを燃料としています。これらを燃やし、その熱エネルギーで作り出した蒸気の力でタービン発電機を回し電気をつくっています。
*2; 一世帯当たりの電力消費量を年間3,600kWhとして試算。(大林組Webサイトより)