世界の現場から - トルコ/ブルガリア/日本
トルコの最大都市で、経済や文化の中心地であるイスタンブール。人口急増に伴う交通渋滞緩和のため地下鉄の新路線拡張工事が進められている。この現場で活躍しているのが、日立建機の油圧ショベルZX160LC-5A(1台)とZX210H-5A(4台)だ。カバタス駅とマハムートベイ駅をつなぐM7号線の地下鉄建設プロジェクトは、トルコの大手ゼネコンのアラルコ社が受注。2018年末、施工を請け負うパヤス・インサート社によって、カバタス駅の操車場におけるトンネル工事が進められていた。トンネルは地下45mに位置し、地盤が軟らかいことから、掘削後にコンクリートを吹き付けるNATMというトンネル工法を実施。パヤス・インサート社のオーナーは、「耐久性があり、作業員も性能に満足している」と日立建機の機械を評価した。
「代理店のアフターサービスにも大変満足している。プロジェクトに携わる多くの人たちに、日立建機の機械を推薦している」とパヤス・インサート社のオーナーは太鼓判を押す。
ブルガリアのクロトヴォ・コナレ採石場で、日立建機の建設機械が作業効率の向上に貢献している。機械のオーナーは、ブルガリアを本拠地とするパーセンク・インベスト社。同社は、この採石場での生産性向上のため、新たに油圧ショベルZX350LC-6(2台)とホイールローダZW310-6(2台)を導入した。100haほどの敷地で、1台のZX350LC-6が、山の中腹で爆破された岩石を下ろし、ここからもう1台のZX350LC-6によって、1日に約3,500tもの岩石が破砕機に積み込まれている。ZW310-6は、破砕機により破砕された岩石の移動や、輸送準備を終えた岩石の積み込みに用いられる。
日立建機の代理店Z&Mからの購入を決定した理由について同社のオーナーは、「機械の性能に加えて、重要だったのはパッケージ全体。Z&Mはアフターサービスも含め、信頼できるパートナーだ」と話した。
ZX350LC-6で破砕機に積み込まれた岩石が、ZW310-6によって運搬される。「ZX350LC-6は力強く高速。操作も簡単で作業をするのが楽しい」「ZW310-6は移動が速く生産的」とオペレータも高く評価。
兵庫県加西市にある笹塚古墳は、ホタテ貝のような平面形状の「帆立貝式古墳」と呼ばれる珍しい形式で、1978年に国指定史跡となった。しかし、墳丘上に樹木が生い茂り、採土や自然浸食による崩壊が進んでいた。そこで加西市教育委員会は風化した箇所に盛土をして復元する工事を発注。ICT建機を駆使したi-Constructionの遺跡版、「i-Cofun」ともいうべき工事が行われた。
設計は空間文化開発機構。工事は小岩斫業(けんぎょう)が担当。ドローン測量やICT施工を得意とする征和建設(兵庫県姫路市)がICT建機の導入を担った。施工は2次元の図面を基に、3次元設計データを作成・入力し、マシンコントロール(MC)を搭載したICT建機で行われた。征和建設の社長は、「古墳は円形でのり面がカーブを描く。MCでどの程度きれいに整形できるかが課題だったが、図面どおりに施工できた」と工事への手応えを語っている。
3次元設計データに基づいてバケットの刃先をコントロールするため、掘削し過ぎて遺跡を傷つける心配がなく、複雑な盛土を正確かつ効率よく整形できる。
※本記事は、「日経xTECH」2019年1 月21日の記事を引用。写真協力/征和建設殿