特集 - 鉱山現場を支える日立建機のマイニング事業
鉱山ではたらく超大型油圧ショベルやダンプトラックを製造する日立建機。
加えてシステムやアフターサービスなど、幅広く鉱山の運営をサポートする。
鉱山の特殊なニーズに「One Hitachi」で応える
教えてくれたのは
日立建機
執行役常務
マイニング事業本部長
石井壮之介
土を掘り、それを動かすのは人類が地球に誕生して以来続いていること。鉱山を支える建機事業は持続的な産業だと考えています。
高い生産性を求められる鉱山では、機械の故障により生産が長時間ストップすることは許されない。また、鉱物を運搬する道路は舗装されておらず、サービスに対応する車両も行きかう。ハードな環境である鉱山で稼働する機械には、安全性、耐久性、生産性など、高度な技術が要求される。
日立建機のマイニング事業における最大の強みは、開発と生産をすべて日本に集中している点だ。キーワードは「One Hitachi」。マイニング事業本部長の石井壮之介は次のように語る。
「当社は日立グループの総合力を結集し、マイニング製品の開発・製造を行っています。国内に拠点を集中することで、日立グループ各社の研究・開発陣と連携し、グループが持つさまざまな製品・技術を最大限活用できます」。
たとえばダンプトラックに搭載されている積荷を安定して安全に運ぶ技術(高度車体安定化制御技術、P9参照)は、日立製作所が持つ自動車の技術を応用し、共同で開発された。ダンプトラックの自律走行システム(Autonomous Haulage System、以下AHS)にも、日立製作所が長年培ってきた鉄道運行管理をはじめとする技術が駆使されている。
「現場では、登坂でのダンプトラックの性能が重視されたり、鉱石を積んで坂道を下る場合のブレーキ性能が求められたりと、鉱山によってさまざま。その点、日立建機はACドライブシステムなどダンプトラックの基幹となる部品をメーカーから購入して搭載するのではなく、日立グループの技術で開発している。そのため、お客さまの現場で求められる仕様に合わせチューニングできるのが大きな強みです」と石井。まさに「One Hitachi」のメリットが最大限に生きている。
部品の製造から再生事業までソリューションビジネスを拡大
ニーズに応えるという点では、多数の車両の位置や走行状況をリアルタイムでモニタリングし、最適な配車を実現する鉱山運行管理システム(FMS)にも注目したい。鉱山における安全性や生産性の向上、ランニングコスト削減、人手不足解消などに寄与する。
一方で、バリューチェーンを軸としたソリューションビジネスにも力を入れている。機械の販売に留まらず、部品の提供や再生、機械のレンタル、ファイナンスサポートなどにより、お客さまの多様なニーズに応えるものだ。2016年に機械・設備のサービスソリューションを提供する米国のH-E Parts、2017年に豪州の鉱山機械向け鋳造部品大手Bradkenをグループ化。ソリューションビジネス推進の体制を構築した。
「従来はマイニングの川上の工程に留まっていましたが、両社がグループに加わったことで包括的なサービスを提供できるようになりました」(石井)。今後も時代のトレンドを捉え、お客さまのニーズに幅広く応えていく。
Ultra-large Hydraulic Excavator
世界的トップシェアの超大型油圧ショベル EX8000-6
Rigid Dump Truck
日立グループの技術を結集したダンプトラック EH5000AC-3
トロリー受電式ダンプトラック
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走行を最適化する鉱山運行管理システム
Fleet Management System(FMS)
鉱山では、超大型油圧ショベルが掘削した岩石や鉱物を、複数台のダンプトラックが運搬。FMSではこの作業をGPSと無線を介してリアルタイムでモニタリングし、効率的で安全な配車を可能にした。カナダのグループ会社Wencoがシステムを提供している。
FMSは車両の稼働状況を把握して鉱山全体の生産効率を向上させて、刻々と変化する状況下で安全運行の指示と管理を行う。
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お客さまのニーズに合わせ最適なサービスを提供
バリューチェーンの強化
H-E Parts、Bradkenの2社をグループに迎え、マイニングの川上から川下に至る幅広いサービスソリューションの提供を実現。両社の技術とネットワークを生かし、バリューチェーン強化に向けたシナジーの創造に動き出している。