疲れ解消! ストレッチ - Vol.02 腰の痛みを取り除く
今回のテーマは、建設現場でもオフィスでも、悩む人が少なくない「腰の痛み」の解消法。インナーマッスルと股関節に着目したい。
成・文/編集部 写真/高田浩行 モデル/松元飛鳥、早坂梨菜
腰への負担を軽減するコツは、お腹の筋肉と股関節使い
集中して運転姿勢を取り続けたり、重い物を何度も繰り返し運んだり──。土木建設現場で働く人にとって、「腰痛」は身近な悩み。長時間デスクに向かうことが多いオフィスワークの方にとっても同じだろう。
「実は腰痛の原因は腰ではない」と語るのは、仲野整體東京青山の仲野孝明先生。「そもそも腰痛の原因は、体幹をつなぐインナーマッスルが使えていないことにあります」
座る姿勢の場合、一番の原因は、椅子に深く腰掛けて骨盤を立たせる正しい座り方ができていないこと。浅く腰掛けると、骨盤は後ろに倒れ、お腹にはまったく力が入っていない。その結果、腰だけに負担が掛かってしまっているのだ。
腰痛予防のために意識したいのが股関節を伸ばすこと。現場やオフィスでも手軽にできる股関節ストレッチを紹介する。
仲野整體 ( なかのせいたい ) 東京青山 院長
仲野孝明先生
姿勢治療家、柔道整復師。柔道整復師認定スポーツトレーナー。介護予防運動指導員。1973年三重県生まれ。大正15年創業の仲野整體の4代目として、“姿勢から日本を変える”をモットーに15万人以上の患者を治療。著書に『一生「疲れない」姿勢のつくり方』(実業之日本社)、『9割の体調不良は姿勢でよくなる』(KADOKAWA)など。
まずはおさらい
「正しい姿勢」
立ち方のPoint
あごをしっかり引き、かかとからお尻、肩、頭を壁に合わせ、最後にふくらはぎを壁に付ける。身長を測るときのように、耳の後ろを上に引き上げる。
座り方のPoint
深く座り、お尻からカラダの上に向けて整えていく。足裏は床の全面に付け、ひざは直角に曲げる。立ち方同様、耳の後ろを上に引き上げるのがコツ。
基本動作を覚えよう
重い物の持ち上げ方
重い物を持ち上げた瞬間、ギックリ腰になったという経験はありませんか? 持ち上げるために肝心なのは、「お腹に力を入れること」。お腹に力を入れないと、体重と荷物の重さの負担が、腰に集中することになります。お腹への力の入れ方と、正しい姿勢を知りましょう。
背中を伸ばせばお腹に力が入る
まずは腰を落として骨盤を安定させ、上半身をブレない体勢に。背中を伸ばすことで、お腹に力が入りやすくなる。次に、ひざを深く曲げたら、荷物をカラダに寄せ、ゆっくりとひざを伸ばしながら荷物を持ち上げよう。腰への負担は格段に小さくなる。
ココもCHECK!!
運転に夢中になって猫背になっていませんか?
長時間の運転は同じ姿勢が続いてしまいがち。かといって、姿勢に気をつけて修正しながら運転をするのも困難かもしれない。まずはページ上の「正しい姿勢」欄で、正しい座り方を習慣づけたい。その上で、下の写真のように骨盤を立てた状態をキープできる体勢づくりを心がけよう。
Stretch01 股関節ストレッチ
股関節は、上半身と下半身をつなぐ大きな関節。ここの周りの筋肉を伸ばして柔軟性を高めることで、腰の痛みを和らげるだけでなく、姿勢を正し、全身のゆがみが整えられる。
片ひざを床につけ
前に重心をずらす
左ひざを床につけて、右足はひざを直角に曲げる。頭頂部から左ひざまでが一直線になるように背筋を伸ばしたら、ゆっくりカラダの重心を前へずらしていく。
腕をゆっくり上げて
大きく下ろしていく
息を吸いながら、左腕をゆっくりと上までまっすぐ伸ばし、その後、息を吐きながらゆっくり真横に下ろす。2回繰り返した後、左右の足を入れ替え逆も行う。
スペース的に片ひざをつく姿勢が難しい場合、立ったままでもOK。まっすぐ立った後に、右足を肩幅より広めに前に出し、カラダの重心を前にずらす。そのまま息を吸いながら左腕をまっすぐ上へ伸ばし、息を吐きながらゆっくり下ろす。左右各2回。
Stretch02 骨盤まわし
デスクワークが多いと、カラダが特定の方向に固定されてしまいがち。骨盤を回してゆがみを取り除こう。座り姿勢が続く場合でも、1時間に1回は立ち上がって動くべし。
正しい姿勢で座り
骨盤をゆっくり回す
骨盤を立てた正しい姿勢で椅子に腰掛けたら、骨盤の上に背骨がまっすぐ伸びて乗っていることを意識しながら、骨盤を反時計回りに5~10周ゆっくり回す。
逆にも回して
ゆがみを修正
次は時計回りに5~10回ゆっくり回す。回すときは、上体が傾かないように注意する。動かしにくい方向があれば、特に丁寧に腰回りをほぐしていく。
座って回しにくいときは
立ち姿勢で骨盤回転
座った姿勢では骨盤がうまく回りにくい場合や、骨盤でなく上体が回ってしまう人は立ち姿勢で行おう。まずは左ページ「おさらい」の「正しい姿勢」で立ち、両手は骨盤に添える。
上半身の傾きに注意して
ゆっくり各5~10回
やり方は座っているときと同じ。まず反時計回り、次に時計回りに、それぞれ5~10回ゆっくり骨盤を回していく。上半身が傾かないように注意しよう。