Solution Linkage 通信簿 - 【Solution Linkage Mobile編】日起建設株式会社[愛知県愛西市]
Solution Linkage Mobile編】日起建設株式会社[愛知県愛西市]
日立建機のICT・IoTソリューション「Solution Linkage」を導入したことで
現場はどう変わったか、経営にどんな影響を与えたか――。お客さまの評価をレポートする。
取材・文/二村高史 撮影/関根則夫
今回のポイント
モバイル端末で全車両の運行状況が把握できる
地図データに施工図面を重ねて構内の道路も一目瞭然
建設機械メーカーを問わず後から取り付けが可能
愛知県に本社を置く日起建設株式会社は、秋田県内に建設中の成瀬ダムの工事に参加。大成建設を中心とする共同企業体の協力企業として、堤体に使用する原石の採取・運搬を担当している。同社が、構内におけるダンプトラックの安全な運行・進捗管理や土砂運搬量の把握などに採用したのが、モバイル端末を活用したIoT施工ソリューションである日立建機のSolution Linkage Mobile(ソリューションリンケージモバイル)だ。導入経緯について、東日本事業部で作業所の所長を務める浪岡誠氏は、次のように語る。
「以前からお付き合いのあった日立建機日本の担当者から、施工現場を安全に効率的に管理できるという新しいシステムの提案を受けました。実地で使いながらシステムの完成度を向上させるとのことで、大成建設さんと相談し導入を決めました」
具体的には、構内を走行するダンプトラックにモバイル端末を取り付け、GPSによる位置情報の送受信を行うことで、指定したエリアへの車両の接近を通知音で知らせたり、搬送路でのすれ違いをスムーズにするというもの。さらに、運搬回数をカウントすることで工事の進捗状況が把握できるとともに、エリアへの進入のタイミングをチャートで確認できるので、車両の稼働状況や工事の流れがひと目で把握できる。現在、モバイル端末を18台の大型ダンプトラックに設置済みとなる。
建機メーカーを問わず後付けできるのが大きな特長で、各種の建設機械や自動車にも取り付けが可能である。
日起建設から提案を受けた大成・佐藤・岩田地崎特定建設工事共同企業体の作業所長を務める池田千博氏(大成建設)は次のように語る。
「ダンプトラックの適切な運行管理は、生産性向上だけでなく、大型車両と作業員との接近を避けられるので、安全性を向上させるためにも重要です。特に今回はダム建設という大規模な工事ですから、少しでも改善できることがあれば試してみたいと考えました」
無線機による交信に比べて、Solution Linkage Mobileでは、モバイル端末やパソコンの画面上で機械や人の位置を常時確認できるのが大きなメリットだ。原石の積み込みエリアに車両が接近すると自動的に通知音が鳴るため、地上の作業員は効率的に作業を進められる。
大成・佐藤・岩田地崎特定建設工事共同企業体 成瀬ダム原石山採取工事(第1期)
作業所長
池田 千博氏
このアプリケーションを使うと、車両が工程に従ってきちんと動いているか、事務所にいながらにして把握できます。運行の履歴も残るため、安心して工事が進められます。
休日でも対応可能なサポート体制に高い評価
Solution Linkage Mobileでは、地図データに施工図面を合成できるのも大きな特長である。「一般的な地図アプリケーションは、ダム工事のような現場では、道のない山の中を走るだけになってしまいます。その点、施工図面が張り付けられると、工事用道路まで反映されます。狭い構内で注意すべきエリアが分かりやすくなりました」と浪岡氏。
ダンプトラックに設置されたモバイル端末。自車の位置はもちろん、他の車両の位置も一目瞭然。
工事の進捗に従って図面を更新すれば、管理者もドライバーも最新の現場の状況が把握できる。この機能を持つアプリケーションは、現時点でSolution Linkage Mobileだけだ。さらなるシステム改良を目的に、月に1回、日起建設の担当者と日立建機のサポートスタッフや開発者が議論を重ねている。
「日立建機のサポートスタッフは、丁寧で責任感が強いという印象です。交代勤務とのことで、土曜や休日でも電話で対応してくれるのは、他にはない体制でありがたいですね」(浪岡氏)。
現場からの要望をもとに、通知音の種類を増やしたり音声メッセージを加えるなど、着実に改善が進んでいる。
日起建設株式会社 東日本事業部 作業所 所長
浪岡 誠氏
Solution Linkage Mobileは、改善して欲しい点もまだありますが、日立建機はごくささいな質問にも電話で丁寧に答えてくれるので助かります。