特集 - キーワードで読み解く、部品と日立建機の未来
機械を長く使っていただくため、日立建機は交換部品の販売、再生事業に注力するほか、機械の稼働管理サービスを提供して、部品を通したお客さまとのつながりを大切にしている。また、部品事業はSDGsや地域貢献にもつながっている。こうした取り組みについて、キーワードを示しながら解説していこう。
01 部品×オリジナルブランド
ニーズに応じた部品ラインアップ
交換部品のラインアップは「純正部品」「SELECTED PARTS(セレクテッドパーツ)」「再生部品」の3つ。「純正部品」は新車に使われるものと同じ部品で、いうまでもなく新車同様の品質が保証されている。「SELECTED PARTS」は日立建機認定サプライヤーから調達する部品。純正部品に近い性能を持ちながら安価であるのが特徴で、保証期間も純正部品同様となっている。用意されるのは主に消耗部品だ。そして「再生部品」は、回収した使用済み純正部品を日立建機グループの部品再生工場で分解し、新品同等の性能が発揮されるように再生したもの(図参照)。こちらも保証期間は新品同様でありながら、価格は純正部品の5~7割で入手できる。
02 部品×健康診断
IoTソリューションで部品交換を提案
機械の健康状態を正確に把握できれば、不具合が起きる前のタイミングで部品交換を決定しやすくなり、機械の突発故障によるダウンタイムを限りなくゼロにすることも可能になる。日立建機が提供する「ConSite(コンサイト)」は、IoTで機械の状況を遠隔監視し、稼働時間・燃料消費量などの情報や異常に関するデータレポートを提供するサービスで、世界130カ国で展開している。レポートは稼働管理に活用できるほか、点検の効率向上や部品交換の決断にも役立てられる。今後はより精度の高い部品交換タイミングの情報を提供できるよう、予兆診断機能を強化していく。また、稼働音や測定データから健康状態を診断・判定する「ConSite Health Check」を導入すれば、サービス員の経験に頼っていたエンジンの燃料インジェクタや油圧ポンプなど機械の状態の診断を半自動的に短時間で行える。
さらにConSiteの診断に応じて、販売代理店がインターネットで必要な純正部品の購入ができるのが「ConSite Parts Web Shop」だ。速やかに見積もりが提示されるため、部品交換にかかる日数が短縮される。
03 部品×SDGs
部品再生が地球の環境課題に貢献
部品の再生には、機械のダウンタイムを極力減らすことによりお客さまの事業継続や価値向上、コスト低減に貢献するだけでなく、循環型経済の実現という要素もある。使用済み部品を再生するということは、つまり廃棄しないということであり、これは産業廃棄物削減につながる。また、新たな部品を生産しないことでエネルギー消費を抑え、CO2排出量削減にも効果がある。これらは同時にSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献する取り組みだ。一方で、欧州を中心に環境意識がさらに高まり、資源循環を推進するための法規制が一層強化される可能性もある。将来に向けて持続可能なビジネスを展開する上でも、部品の再生は今後さらに成長させていくべき事業だといえる。
04 部品×鉱山
機械が止まれば鉱山全体が止まる
大規模な鉱山となると、資源の掘削、路面整備、搬送までのさまざまな作業を考えれば、数千台という膨大な数の機械や車両が昼夜稼働している。機械を動かす人間だけでなく、保守・修理を担当する人間もいる。その鉱山で建設機械が止まると、鉱山全体の稼働がストップしてしまい、影響は計り知れないほど大きい。だからこそ鉱山の稼働を止めないためにも適切なタイミングでの部品交換は欠かせない。部品交換はオーバーホールという現地で分解・修理するケース、再生部品を使用するケース、また日本から部品を取り寄せるケースがあり、それぞれ半年から1年前のプランニングが必要だ。メンテナンスによる車体の非稼働時間を最小限にするためにも、機械の状況を常にチェックし、計画的な部品交換が必要になるわけだ。
05 部品×アフリカ
アフリカで事業を拡大
唐突に「アフリカ」という言葉が出てきたことに驚くかもしれない。日立建機はアフリカ南部のザンビアに2011年、鉱山のマイニング向け機械の部品改修工場を設立し、アフリカでの部品再生事業の拠点としている。南部アフリカには巨大鉱山が多く、各国で日立建機の機械が活躍。特にザンビアはアフリカ最大の銅鉱山で知られ、2016年にグループ化した米国のH-E Parts社と協業し、相乗効果による部品再生事業の拡大も進めている。ザンビアで現地スタッフの雇用を促進するほか、2018年から同国北部の技能専門学校の学生を対象にインターンプログラムも開始するなど、若い世代の教育・育成・就業を支援するCSR活動も行っている。