特集 - 部品事業を通してお客さまとつながり、
持続可能な循環型社会へつなげていきたい
部品関連サービスの販売促進と、国内外の部品再生工場における技術的サポート。
異なる立場で部品事業に携わっている2人の社員に、日立建機の部品事業の意義や強み、サポート体制などについて話を聞いた。
ライフサイクルコスト低減に向けお客さまへ情報を発信
大洋州事業部
徐亮
現場サービスのプロと、先進のIoT・ICT技術で鉄壁のアフターサービスを確立しています!
日立建機は、お客さまが新しく機械を購入してから手放すまでの長期間にわたり接点を持つ「バリューチェーン事業」を強化しています。そのなかで、建設機械のライフサイクル全般において、部品交換やメンテナンス、燃料など、お客さまが負担するコストをトータルで最小化させるサポートに注力しています。
その一環として、再生部品も含めた部品事業は不可欠と考えています。お客さまの意識も変わっており、私が担当するオセアニア地域でも、2019年10月からニュージーランドの代理店で再生部品の拡販活動を始めたところ、コスト面はもちろん環境にも優しいと好評をいただきました。事業部としては、ほかの地域でも部品再生事業を拡大していく方針です。
お客さまを第一に考え、サポートを強化
日立建機の部品・サービスの強みは、品質や保証がしっかりしているのは当然のこととして、常にお客さまを第一に考えているところです。リピートしていただくために、主に2つの点でのサポートを重点的に推進しています。1つはサービスパーツエンジニアと呼ばれる専門性とスキルの高いスペシャリストを育成し、現場サポート力と顧客提案力を強化すること。もう1つはIoT・ICTソリューション「ConSite」で常にお客さまの機械を見守り、接点を持ち続けることです。
日立建機では機械の稼働状況に応じて、生涯にかかる部品コストやメンテナンスコストを試算できるサービスも提供しています。それにより、お客さまの所有機械におけるコストを低減させていく計画を立てられます。さらに、機械の走行時間や部品の摩耗具合、油圧ショベルの旋回の頻度など、使われ方の具体的な事例を含めた定期レポートを発信し、定期メンテナンスと部品交換の重要性をお伝えしております。こうした定量的なデータに基づく情報を駆使しながら、現場ではお客さまと直接の接点も大切にし、しっかりとニーズを伺ってより良いサポートにつなげていきたいと思います。
再生部品事業拡大で循環型社会の実現をめざす
部品事業部 再生推進部
浅賀俊之
どのお客さまにも再生部品が届く環境を整えていきたい。
日立建機では日本を含めて7カ国で部品再生事業を展開しています。国内は常陸那珂工場が再生工場の主要拠点。海外ではザンビア、豪州、インドネシアが主要拠点で、この3カ所では主に鉱山系の大型部品の修理・再生を行っています。私はそれらの拠点や工場での技術的なサポートを行っています。
鉱山では現場を動かし続けるために定期的な部品交換が必要です。再生部品を準備しておけば現場で交換ができ、新品に取り換えるよりもコストを抑えられるので、稼働できない時間を減らせるといった点でニーズも高まっています。一方で鉱山の稼働率は資源の需要に左右されやすく、機械の部品交換の頻度にも影響します。そのような状況で、現場でのお客さまの声や交換履歴の情報から適切な交換時期を提案しています。今後は機械の稼働状況を見守るConSiteも活用し、お客さまへの最適な提案をめざします。
回収された部品は“宝の山”
実は、再生部品に交換することで回収された使用済み部品には、大きな価値があります。なぜかというと、扱う鉱物や機械の使われ方で、どの部分が摩耗しているかなどの稼働に関わるデータが得られるからです。このデータを開発・設計部門へと連携することで、将来的には、壊れにくく摩耗しにくい部品の開発につながるかもしれませんし、修理しなくても再利用できる構造が可能になるかもしれません。製品自体の性能がアップすればメンテナンスに関わるコストも低減できるようになるでしょう。現在はデータを解析して、最適な設計に役立てていく仕組みづくりを進めている最中です。
製造から消費までの間にムダが生じているなら、再生はもちろんリサイクルや長寿命化などのさまざまな発想で循環型経済に近づける役割を、メーカーとして果たしていくことが重要です。
加えて、お客さまが当社の再生部品を利用することで、循環型社会やSDGsに賛同していただいていることにもなります。ともに環境・社会面における貢献をめざしていきたいと思います。