医者が教える働くカラダにいい食べ方 - Vol.02 血糖値を意識するお酒の飲み方
暑い夏も寒い冬も屋外で作業をされる方、建設機械やダンプトラックを運転される方、一年中パソコンに向かって作業をされる方──。
さまざまな仕事場で忙しく働かれているみなさまが毎日最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、“カラダにいい食べ方”をお伝えしていく新連載です。
構成・文/編集部 イラスト/丹下京子
Profile
AGE 牧田クリニック院長/医学博士
牧田善二先生
1979年、北海道大学医学部卒業。米国ロックフェラー大学などで、老化(シワ、シミ、たるみ)の原因として注目されるAGEの研究を行う。96年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授。03年に東京、銀座でクリニックを開業し、延べ20万人以上を診る。80万部突破の『医者が教える食事術最強の教科書』(ダイヤモンド社)など著書多数。
Vol.02 血糖値を意識するお酒の飲み方
外で飲む機会は減ったものの、昨今ご自宅でお酒を楽しむ機会が増えた方もいるのではないでしょうか。お酒の飲み方を今一度見直してみませんか?
よく「血糖値の高い人はアルコールを控えめに」「太りたくない人はカロリーが高いお酒は避けたほうがいい」などと言われています。しかし牧田善二先生は、「私の専門は糖尿病ですが、患者さんには『お酒は飲んでもいい』と伝えています」と話します。「“お酒を飲んだほうが血糖値は上がりにくく、太らない”という研究結果も出ているんです」
ただ、お酒の種類は選んだほうがいいと牧田先生。「最もおすすめなのが白ワイン。2004年にドイツで発表された研究によると、特に辛口の白ワインにはダイエット効果があることが分かりました」。ワイン以外なら、ウイスキーや焼酎など糖質ゼロの蒸留酒、糖質ほぼゼロのジンやラムなら血糖値を上げにくくします。逆に糖質の観点から避けたほうがいいのは、ビールや日本酒、紹興酒などの飲料です。「同様にお酒と一緒に取る食事やおつまみにも低糖質を選んでください」
「もちろん飲み過ぎは禁物ですよ」と牧田先生。「理想はアルコール量(含有量)が週100g。ワイン1本程度です。毎日飲む場合はワイングラス約1杯が目安。上手にお酒と付き合ってください」(牧田先生)。
お酒を飲むときの食べものの選び方
■煮物や煮魚は主食の代わりに
煮物や煮魚は、調理に使う砂糖やみりんなどに糖質が多く含まれています。「基本的に肉や魚介などは、主食の代わりに満足度も高め、タンパク質もしっかり取れます」(牧田先生)。
■根菜類も糖質高め食べる際は控えめに
糖質を多く含むニンジンやジャガイモ、大根などの根菜類も、血糖値を考えた場合は控えめにしたいもの。「野菜類は葉物を中心に取るようにしてください」(牧田先生)。
■ソースや焼肉のタレなど調味料にも注意
「ソースやケチャップ、焼肉のタレなども、糖質が高いので要注意です」(牧田先生)。味付けには、だしやスパイス、塩・こしょう、バター、酢、マヨネーズなどを使いましょう。
明日からこれだけやってみませんか
お酒を飲む際 は「 一 緒 に 水を飲む」「 ゆっくり食 べる」
「私は夕食時に白ワインを飲むのですが、そのときに水もたくさん飲むようにしています。それによって血中アルコール濃度が下がり、悪酔いしないですむからです」と、牧田先生。先生は夕食時に1リットル以上の水を飲むそうです。「水分を取ることで、血液中のブドウ糖濃度が薄まって血糖値を下げることにもつながるのです」
飲酒の有無に限らず、水を飲んで得られるメリットはたくさんあります。例えば、老廃物の処理。私たちのカラダは、絶えず細胞や筋肉が作り換えられ、その際に老廃物が発生します。それらをカラダに溜め込まないで尿から排出するには、水分摂取は不可欠です。
もう一つ、「ゆっくり食べる」も習慣づけたいもの。「“早食い”をすると血中にブドウ糖が増えて急激に血糖値が上がり、インスリンも急速に分泌されます。しかし、処理しきれない分は、全て脂肪に。ゆっくり時間をかけて食べれば、血糖値の上昇度合いは緩やかになり、結果的に太りにくい食べ方につながります」。ゆっくりよくかんで食べることで脳の満腹中枢に「食べています」の信号が送られ、食事の満足度の高さにもつながります。