特集 - お客さまの「困った」を解決するICT施工ソリューション
「現場の進捗を簡単に確認したい」「事故を減らしたい」「次世代への技術承継が進まない」など、建設現場で直面している課題は多い。そんな“困った”の代表的な声を、日立建機のICT施工ソリューションでどのように解決していけるかを紹介する。
1. ICT施工に取り組みたいけれど、難しそう。導入のコストも心配……
「生産性や安全性の向上、案件の受注のためにもICT施工には着手したい。とはいえ、投資に見合った成果が得られるのかも心配。社内にICTに詳しい人財もおらず、なかなか踏み切れない」
Solution Linkage Point Cloudでドローン測量の点群化も簡単
生産年齢人口の減少に伴って建設業の働き手が減るなか、徐々に業界の環境に変化が出てきている。将来を見越したICT化は着手できるところから始めて、ICTのメリットを実感しながら徐々に拡大を図るスタイルも選択肢の一つだ。
ICT建設機械をレンタルで使い、まずは一連のICT施工のプロセスに沿ったノウハウを蓄積するなど、自社の展開に即して導入を考えるのも得策だ。
ドローン(UAV)による3次元測量や、3次元設計データの作成を自社で内製化できるようにするのもICT活用のポイントである。しかし、点群データ作成に時間がかかるなどのお悩みの声も多い。日立建機では、ドローンの撮影画像をクラウドにアップロードするだけで、これまで数時間かかっていた点群作成の工程を自動処理するソリューション(Solution Linkage Point Cloud)を提供している。一例をあげると、従来の測量で成果物が完成するまでに3日かかっていたプロセスを、ドローンで撮影して3次元データができるまでを1日に短縮できたケースもある。ドローンで自動航行ができればすぐ始められる手軽なソリューションだ。
2. 現場工数の削減や合理化で、「働き方改革」を進めていきたい
「現場で日々発生する土量の計測や進捗管理に工数を割かれ、書類などの処理も煩雑……。生産性を向上させて働き方改革に対応していきたいが、ICTでどう効率化できるだろう」
現場の土量計測は悩みの種だ。発注者への報告などもあって多くの工数が割かれる。そんな一連の作業を簡単に、かつ定量的に把握できるのが、スマートフォンによる体積計測ソリューション(Solution Linkage Survey)だ。スマートフォンの専用アプリで動画撮影するだけで、土木施工現場で発生する掘削土の体積(土量)を把握できる。現場の点群データを共有することで、遠隔地にいる関係者も現場の進捗状況や土量などをリアルタイムに閲覧できる。
ダンプトラックが現場に到着するまでの待ち時間が生じるケースが多い。現場の作業状況やダンプトラックの運行管理で現場を見える化するソリューションがSolution Linkage Mobileだ。進入通知機能でダンプトラックの待ち時間ロスを排除。運搬回数の把握や自動日報集計機能は評価が高く、従来管理者が手作業で行っていた日報作成の業務を削減できる。現場で不便に感じていることはICTを活用し、作業時間の短縮や業務の効率化を図ることが可能だ。
3. 経験や習熟度の浅い若手でも、安全で正確に作業してほしい
「油圧ショベルの操作は複雑なため、オペレータの熟練度により作業効率や出来栄えに影響がある。オペレータの高齢化が進むなかで、若手の戦力化に時間がかかる…… 」
新型7型機。新開発のマシンコントロールで作業スピードが向上し、オペレータの負担を低減
土木工事や建築基礎工事などで、オペレータの操作をアシストすることを目的に開発された独自のマシンコントロール機能(Solution Linkage Assist)を搭載したのが、日立建機のICT油圧ショベルの新型機「ZX135USX-7、ZX200X-7、ZX330X-7」だ。若手でも、さまざまな現場で正確に作業ができるように支援機能が搭載されている。油圧ショベルの旋回動作時にフロント部が設定した境界に近づくと、動作を減速して停止する「エリアコントロール」機能が新たに搭載され、狭所や障害物のある現場での安全性向上にも貢献。
さらに、ZAXIS-7シリーズオプションとして、機体と障害物の接触被害低減に寄与する運転支援システム「エアリアルアングル ステップⅣ」が新たに発売される。エアリアルアングル ステップⅣと連携するSolution Linkage Alert Viewerを使えば、作業範囲内の物体を検知した際に、管理者が通知を受け取ることができる。また、現場内での検知情報を集計・分析し、ヒヤリハット情報を管理者向けにレポートする機能も備えている。 ヒヤリハットの共有、周知徹底などが図れ、巡回計画策定や危険予知活動など、オペレータへの教育、安全管理などのシーンでも活用できる。
エリアコントロールは、設定した境界に近づくと自動で減速し、停止する機能。オペレータの周囲注意の負担を軽減する
4. 現場の見える化とカイゼン活動を促進して業務の最適化をはかりたい
「施工計画通りに進んでいるか、実際の施工状況をリアルタイムで把握できないだろうか。現場の様子を共有してもらい、移動のムダも省きたい」
建山教授が指摘した通り、施工における「ムダ」を洗い出し、ICT化することで業務効率をはかる「カイゼン」の着手が必要だ。特に、現場管理者はリアルタイムに情報を把握し、複数の工事関係者と情報を共有する必要がある。そのためにもICTのチカラを活用したい。
油圧ショベルの作業過程をスマートフォンで把握できるソリューションがSolution Linkage Work Viewerだ。機械に搭載された全周囲カメラ映像とフロントカメラ映像をレコーダーに記録。レコーダーに接続することでスマートフォンでの閲覧が可能だ。
さらに、専用通信ユニット(Solution Linkage Work Viewer Cloud)を後付けすることで、どこにいても現場の状況をリモートですぐにシェア。事務所など現場から離れた場所でも、進捗管理をサポートできる。録画映像はタイムラプス動画(15倍速の早送り動画)で1日分8時間の作業を約30分の短時間で振り返ることができるため、施工中の変化も把握が可能。現場にいない工事関係者にも短時間で正確に工事内容を伝えることができる。