拝啓・現場小町 - なないろ電気通信株式会社 前中由希恵さん
各方面の現場でイキイキと輝く活躍する女性にその醍醐味や将来の目標などを伺いました。
文/編集部 写真/宮本敏明
電設業界と地域の活性化に
希望のあかりをともす
京都府出身。電気設備会社でのアルバイトを機に電気工事士の道へ。
2021年に「一般社団法人 女性技能者協会」を設立。女性だけでなく、建設業界全体を働きやすくするための活動に力を注ぐ。
現場仕事で培った技術で人の心も明るく
京都市に本社を置くなないろ電気通信株式会社。同社で電気工事士として働く前中由希恵さんのモットーは、「夢は人に伝えると目標になる」。
「誰かが『やるぞ!』と声を上げれば、仲間が集まって『おっしゃ!』と支える。そんな空気の現場で働いてきた影響もあり、やりたいことは公言するようにしています。そのうえで実現に向けた行動を起こしていくと、いいご縁やチャンスに恵まれるんです」
もともとはアパレル業界志望。職が見つかるまでのアルバイトとして始めた電気工事の仕事だったが、本気で向き合い18年も続けてこられたのは「負けず嫌いな性格と周りの人に恵まれたおかげ」と前中さんは笑顔で語る。
「難しい作業でも『できない』と諦めたくないんですよね。決められた工期と図面どおりに、いかにセンスの良い施工で収めるかがこだわりです。仕事を始めた当初は『女性にはムリ』と言われることもありましたが、電気工事はチーム仕事。適材適所で業務を分担すれば男女は関係ないんです。何より一緒に働く職人さんからの『次も頼むで!』という言葉や、照明がついた瞬間などに誰かに喜んでもらえることがすごくうれしくて。やりがいを感じるうちに、この仕事にハマっていました」
電気工事士の仕事の楽しさを伝えるために、日々の仕事の様子をSNSで頻繁に発信。現場に興味を持つ人を増やすきっかけをつくりたいと話す。
「若い人の参入が本当に少ないんです。工業高校では電気工事士の資格を取得しても、電設会社への就職を視野に入れる生徒さんが減っているとも聞きます。技能を磨けば一生使える資格なのに、もったいないですよね。資格を生かして現場に立つ人が増えれば照明の活用プランの幅も広がり、多くの人の生活をより豊かにできると思うんです」
自身が描く「電気工事は人々の生活を明るくできる仕事」という思いを体現すべく、京都府内の地域活性イベントにも積極的に参加。2019年は七条大橋のライトアップイベントの企画と設営、2021年は八幡市で名産の竹を使用した照明器具“竹あかり”を点灯する「竹あかりの夕べ」のアドバイザーを務めた。人の心を動かす仕事がさらに人を呼び、今秋は女性技能者協会の立場で、八幡市内にある工業高校の卒業研究で竹あかりの演出を行う予定だ。
2021年には自らが発起人となり、「一般社団法人 女性技能者協会」を設立。建設関連の資格取得セミナー開催や託児付きコワーキングスペースの開設など、社会の動きを活発にするための取り組みを計画している。
「建設業界は人手不足なのに職探しに悩む女性の選択肢に入りにくい。女性も輝ける職場であることの周知や就労支援などの活動を通じ、業界と多くの方の未来を明るくしていきたいです」
道の駅を巡ってスタンプを集める
楽しくてハマっています。いまは近畿圏の道の駅を網羅したスタンプラリー帳を全部埋めることが目標。基本的には出先の近くにある道の駅に立ち寄って押すという感じですが、休日にスタンプを目当てに複数の道の駅を巡ることも。先日は和歌山県を巡り、1日で7つ集めました!
なないろ電気通信株式会社 代表
井上直人さん
厳しい現場でも甘えることなく、仕事や自分のやりたいことに対し、一生懸命努力している方。周囲の人たちを巻き込む行動力や感謝を忘れない姿勢、人や作業と真摯に向き合う部分も尊敬しています。