Solution Linkage 通信簿 - 【ICT施工ソリューション編】伊米ヶ崎建設株式会社[新潟県魚沼市]
【ICT施工ソリューション編】
伊米ヶ崎建設株式会社[新潟県魚沼市]
日立建機のICT・IoTソリューション「Solution Linkage」を導入したことで現場はどう変わったか、経営にどんな影響を与えたか――。お客さまの評価をレポートする。
取材・文/太田利之 撮影/関根則夫
今回のポイント
建設DXを推進し働きやすい環境づくりを実現
建設ディレクターがICT施工を強力にサポート
除雪作業をICTで見える化 一気通貫体制を推進
伊米ヶ崎建設株式会社は1932年に、日本屈指の米どころとして知られる新潟県魚沼の地で創業。土木工事をはじめ、建築や除雪事業を通して地域のインフラ整備に貢献し、90年にわたって地域社会の発展に尽力している。
代表取締役社長の櫻井馨氏は「企業は、変化と成長をキーワードに新たな挑戦を続けなければいけない」と強調する。社会変化を肯定的に受け止め、積極的な企業変革を牽引している。
代表取締役社長
櫻井馨氏
建設業界の明日は、若い人財の採用・育成にかかっています。変化を先取りした施策で「楽しく働くことができる建設業界づくり」をめざしています。
オフィスから現場のICT施工をサポート
「真の建設DXはICT建設機械の導入にとどまらず、オフィスを含めた組織や働き方の変革を伴わなければ意味がない」という櫻井社長の号令のもと、同社は大胆なビジネスプロセス改革を進めてきた。その一環として、ICTスキルを活用してオフィスから現場をサポートする「建設ディレクター」※を導入し、人財を育成している。
「ICT施工にかかわる3次元設計データの作成や修正、書類作成などを建設ディレクターに任せることで、現場担当者は工事の品質管理や人財指導・育成などの本来業務に専念できます。帰社後に行う事務作業などの負担も減り、長時間労働も改善できました」
建設業界では人財確保が難しくなっており、伊米ヶ崎建設では将来を見越して毎年新卒を採用。建設ディレクターをはじめとする女性の採用比率は高く、2030年までに全社員の女性比率を50%とする目標を立てている。
「適性と人物のポテンシャルで採用を進めた結果、自然と女性比率が上がり、組織に多様性が生まれました」
また、現場とオフィスをリアルタイムにつなぐために、従業員にタブレット端末を支給。コミュニケーションアプリのMicrosoft Teamsを介して、ビデオ通話で状況を把握したり、必要な時に必要な現場写真や図面などを共有したりする環境を整備した。
また、同社では業務の属人化も課題だった。そこで、社内の情報を一元管理して透明性を持たせることで、「担当者がいないと分からない」といったブラックボックス化の解消を図った。各部屋に大型ディスプレイを掲げ、タスク管理アプリで進捗を共有することで、チームワークもいっそう強化されたと言う。
※「建設ディレクター」は、一般財団法人建設ディレクター協会が普及を進める、オフィスから現場支援を行う新しい職域。建設ディレクターは、一般社団法人建設ディレクター協会の登録商標です。
ICT施工ソリューションで新たな課題解決に挑戦
伊米ヶ崎建設では2016年の国道バイパス工事からICT建設機械を導入している。2019年には、現場オペレータの声を基に日立建機のICT油圧ショベルZX135USX-6を導入した。
「ICTの機能はもちろん、『ベースマシン自体の信頼性が高い』というのが、現場オペレータが日立建機の導入を望んだ最大の要因でした」。ICT施工推進をとりまとめる工事土木事業部長の奥村圭太氏はこう語る。
「日立建機のマシンは操作性が良く、ベテランはもちろん、初心者でも生産性と安全性の最大化を図れる点が魅力です。各現場には、ベテランと若手でチーム編成した人財配置をしています。施工ノウハウやマシン操作をベテランが教える一方で、若い人財がタブレットの操作を教えるといった、今までにない新しい動きも生まれています」
ICT施工においては、同社の建設ディレクターの活躍も不可欠だ。
「建設ディレクターのおかげで、3次元設計データ作成を内製化でき、急な変更にも即座に対応が可能になりました」
奥村氏は、現場での運搬管理に対応するICTソリューション「Solution Linkage Mobile」に期待を寄せていると言う。現場の安全性向上や運搬回数カウント、配車の最適化。さらに運転日報の出力、請求業務まで一気通貫の体制が確立できれば、より業務効率の向上を図ることが可能だ。
「今後は、このSolution Linkage Mobileを応用し、除雪作業に活用したいと考えています。日立建機との二人三脚体制を強化して、ICT導入でさまざまな現場課題を解決していきたいです」(奥村氏)
※Microsoft Teams、Microsoft Plannerは、米国Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における商標または登録商標です。
土木事業部 部長
奥村圭太氏
今回の日立建機のICT施工ソリューションの評価は満点です! ICT導入の本質は「ラクして、楽しく働くこと」だと思います。実際にICT建設機械に乗っている従業員に聞くと、ベテランになるほど魅力を実感しているようです。日立建機には建設機械のみならず、建設DXが実現できる便利なソリューションをどんどん提案してほしいですね。