見たくなる!日本のすごいインフラ Vol. 01
まるで自動車玩具のグルグルスロープ!?
河津七滝ループ橋(正式名称:七滝高架橋)
静岡県賀茂郡河津町
宮沢 洋(みやざわ・ひろし)
画文家、BUNGA NET代表兼編集長。1967年生まれ。1990年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、日経BP社入社。2016年~19年、日経アーキテクチュア編集長。2020年独立、建築ネットマガジン「BUNGA NET」を運営。著書に『隈研吾建築図鑑』『日本の水族館五十三次』など
日本のインフラをイラストエッセイでお届けする新連載開始! かつてはつづら折れの山道だったが、1978年の地震で道路が寸断。
その教訓から1981年に二重ループ橋が誕生した。6基の橋脚で支える。設計は日本構造橋梁研究所。施工は8工事区域に分かれる。
伊豆・天城山のふもとの「河津七滝」。「七滝」は「ななだる」と読む。河津七滝には7つの滝のほかに温泉もあり、川端康成著『伊豆の踊り子』の舞台としても知られる。そんな観光地にあるループ橋だが、それ自体が観光地であるとは知らなかった。
高架のループをグルグルと車が走る。ループの直径は80m。高低差45mを全長1,064mの車道が2周する。実は以前、何も知らずにここを走ったことがあったのだが、こんな形になっていたとは……。少なくとも運転手の方は、走りながら内側を見ない方がいい。運転が危ないし、高さが分かって怖い。
ではどうするか。「こんな形」は、下からじっくり見ることができる。ループ橋の真下、円の内側部分に無料の駐車場があるのだ。なんて親切。斜面には河津桜が植えられており、毎年1月下旬から3月上旬にかけてピンク色の花が咲き誇るという。
親切といえば、駐車場に「田中賞」「全建賞」という2つの説明看板が立っているのも親切だ。前者は完成時に土木学会が与えた賞、後者は後に行われた補強工事に対して全日本建設技術協会が与えた賞の説明だ。こうした看板は珍しい。エンジニアへの敬意が感じられてうれしくなる。