Chapter 3 - 米州での挑戦の日々に根付く「Kenkijin スピリット」
ディア社との提携解消をきっかけに、大きな変化の時期を迎えた日立建機の米州事業と、それを主導する日立建機アメリカ。21年8月に約40人だった従業員数は、新たな人財100人と、日本の日立建機からの駐在員40人を迎えて、現在は180人体制に拡大した。その多様な人財が集まる組織を1つにまとめる規範であり哲学としての役割を果たしているのが、日立建機の「Kenkijinスピリット」だ。
Kenkijinスピリットは3つの「C」が思想の基盤となる。
- Challenge(チャレンジ精神)
- Customer(個客志向)
- Communication(風通しの良さ)
世界の日立建機グループで大切にしてきた価値基準であり行動規範は、これからビジネスを広げる米州でも重要なキーワードだ。
クイン社長は、多様な人財が集まる日立建機アメリカにおいて、Kenkijinスピリットはチームをまとめる指針になると語る。
多様な人財を1つにまとめる指針
日立建機アメリカのCEOを務めるアル・クインはKenkijinスピリットについて、「非常にオープンで透明性が高い文化で、物事をよりよく実行するために個人的な意見を述べることを奨励する習慣」と説明する。「皆が話をして、意見が違っても攻撃しない。でも一度決めたら皆で実行します。独裁やトップダウンではなく、全員が貢献しながら製品とプロセスを改善することです」と話し、これが「多様な人財が集まる日立建機アメリカでうまく機能している」とみる。
副社長のサイモン・ウィルソンは「従業員やお客さまとしっかり話し、組織全体のどこを修正し、どこを変えて提供するサービスを改善するかを考え尽くすこと」と解釈する。「例えば、機械を購入したお客さまだけでなく、購入を見送ったお客さまの話もよく聞くようにしています。私たちがしなかったこと、できなかったことがあれば、そこを修正してより良い方向へと成長できる機会になります」(ウィルソン)中南米担当のシニア・ディレクター、バブリトン・カルドソはKenkijinスピリットを「会社と一致した目的を持つこと。会社の目的は何かを理解し、その目的に沿った手段を理解し、会社を成長させ、会社と共に成長させるためにツールや権限を使うことを意識しています」とした。レンタル事業担当マネジャーのジェイソン・ミゼンは「お客さま一人ひとりが本当に何を求めているかをチームワークで考えること」だと考える。
個々のお客さま=「個客」に利益をもたらすため、じっくりと意見を聞いた後に、社内では徹底的な話し合いや意見交換を交わし、新たに必要になったことには果敢に挑戦する―。新しいチャレンジに日々立ち向かっている日立建機アメリカでも、Kenkijinスピリットは着実に行動指針の軸になっているようだ。