Solution Linkage 通信簿 - 【ICT施工ソリューション編】福留開発株式会社[高知県高知市]
【ICT 施工ソリューション編】
福留開発株式会社 [高知県高知市]
日立建機のICT・IoTソリューション「Solution Linkage」を導入したことで現場はどう変わったか、経営にどんな影響を与えたか――。お客さまの評価をレポートする。
取材・文/太田利之 撮影/関根則夫
今回のポイント
地域や企業と一丸となって、ICTで業界のイメージアップを推進
デジタル活用と両輪でそれを操る人財の能力と感性を育む
現場を理解した上でのICT利活用でより良い効果を導く
次世代担い手のために、I C Tを利活用
業界と企業の「あるべき姿」を追求する
高知県で1951年に創業した福留開発は、社会インフラの整備、防災や災害復旧事業を軸として持続可能な地域づくりに携わる。創業から続く建設業界の原理原則を重んじつつも、今の時代にマッチしたスタイルで、業務や働き方、企業文化にわたる大胆な改革を進めている。代表取締役の大場将史氏は、次のように語る。
「2年前に私が社長に就任した際に掲げたスローガンは“Chance・Challenge・Change”という3つのCです。『チャンスに気付く感度や能力を磨き、失敗を恐れずに挑戦し、大胆に変化していこう』ということです。
代表取締役
大場将史氏
アナログとデジタル、伝統と新技術、効率化すべきことと非効率でいることなど、企業運営には最適なバランスを保つ精神を大切にしていきたいですね。
周囲を巻き込みながら業界の魅力を広くアピール
大場氏が特に意識したのは、しっかりと次世代にバトンをつなぐ企業にしていきたいという想いだった。
「社員皆が、家族や子どもたちに誇ることができる仕事や会社を築くのが、私の使命だと考えています」
同社は、このビジョンにもとづく施策の一環として、3年前から、近隣の小学校で「ドローンを使ったプログラミング体験教室」を実施。社会インフラを築く建設業界の仕事の魅力を伝える座学の後に、決められたコースに沿ってドローンを飛ばす実技を行う。
「子どもたちが実際にドローンを飛ばしてみると、初めは失敗をするんです。
でも何が失敗だったのかを振り返ってうまくいくと、子どもたちの目が一段と輝くのを感じます。体験会の講師役を任せるのは、入社1 ~ 2年目の社員です。子どもを指導する過程で、自らの仕事の意義や価値を再認識してくれるという効果も生まれています」
さらに福留開発では、自社の社員はもちろん、同業他社の社員や、県や市の職員を招いた「新技術(ICT)勉強会」を定期的に主催している。ICT施工に不可欠な3次元設計データの構築や活用を学び、ICTの普段使いを促す。
「県内の同業他社や行政を含んだ全体で、スキルアップを図る姿勢が大切です。社員には、県外の勉強会やイベントなどにも積極的に参加させ、より広い視野で業界の未来ビジョンを描いてもらいたいと考えています」
現場の原理原則×ICTで相乗効果を発揮
ただし、ICTは効率化や精度アップ、生産性向上を加速させるためのツールであり、それを操るのはあくまでも人間だと大場氏は強調する。
「どんなにデジタル技術が進んでも、建設現場の本質的原理は普遍です。だからこそ、今後どのような新技術が出てきても、それをハンドリングできる人財育成は必須です。特に、現場で最も大切な『安全』は、施工の合理化や省力化とは異なる視点で、事故ゼロを追求しなければいけません。人間の目によるチェックが不可欠であることを、決して忘れてはいけません」
同社は現在、ICTを全面的に活用し、国土交通省が管轄する物部川京田地区の堤防築堤工事を進めている。現場ではICT建設機械を2台導入。日立建機の「ZX135USX-6」は、覆土とのり面整形で活躍している。現場責任者で土木部土木課の課長代理を務める中岡弘智氏は、機種選定をこう振り返る。
「ICT建設機械の導入に先立って、レンタル機でさまざまなマシンを試しました。その結果、3次元設計データやオペレータの意図に沿ったスムーズな操作性やレスポンスなどの総合評価で、日立建機に軍配が上がりました」
ICT施工の内製化を図る同社では、ドローンによる起工測量や3次元設計データ作成などは、積極的に若手に任せている。
中岡氏は「3次元設計データにミスがないか、作成者と管理者とで二重三重で確認を行っています」と前置きをし、次のように続ける。
「実は、3次元設計データの活用は、2次元図面の知識や読解力があってこそ深い理解が得られるものです。ですので2次元の図面で答え合わせをしながら、データを読み解いています。そうすることで、若手は図面読み込みの精度が上がり、技術力アップも加速されるという効果も生まれています」
中岡氏は、ベテランも若手も一丸となり、今後さらにICT施工のスキルを磨いていきたいと抱負を語った。
土木部 土木課 課長代理
中岡弘智氏
日立建機は対応が迅速でサポート体制にも感謝しています。他県でのICT活用事例や、新しい情報を随時提供してくれるので、すぐに現場に取り入れて活用しています。