行くぞっ!ゼロエミッション
CO2排出量実質ゼロをめざす「ゼロエミッション」。その実現に向けて、社会は大きく動き出している。今、日立建機グループが懸命に取り組んでいるのが、建設機械の電動化による現場のゼロエミッションだ。この非常にチャレンジングな目標を達成するためには、さらなる技術革新や社会システムの変革も急がれる。本特集では「行くぞっ!ゼロエミッション」を合言葉に、建設機械の電動化プロジェクトを主導するメンバーのインタビューから、その取り組みと、未来像をあきらかにした。
文/斎藤 睦、斉藤俊明 写真(ポートレート)/関根則夫 イラスト/米村知倫
電動化建設機械を柱に取り組む日立建機グループのゼロエミッションへの道
2050年までにバリューチェーン全体を通じてのカーボンニュートラルをめざす日立建機グループ。
その取り組みの柱となるのが建設機械の電動化だ。
1960年代にすでに電動化建設機械を世に送り出した日立建機が未来に描くのはゼロエミッションの世界。その道筋を見てみよう。
2022年10月、ドイツ・ミュンヘンで国際建設機械見本市「bauma2022」が、世界60カ国から3200 社が出展して開催された。“デジタル化”と“持続可能性”は建設業界における大きな課題でありトレンドだが、それらの流れはbaumaでも同様である。特に「ゼロエミッションへの道」をキーテーマの1つに掲げた今回は、数多くのメーカーが電動化建設機械を会場に持ち込んだ。中でも2tから13t まで4 機種のバッテリー駆動式ショベルを展示した日立建機グループのブースは、来場者の大きな関心を集めた。
「気候変動に挑む製品・技術開発」をマテリアリティ(重要課題)の1つに定めている日立建機グループは、2050 年までにバリューチェーン全体を通じてのカーボンニュートラルをめざしている。建設機械のライフサイクル全体のCO2 排出量で見ると、建設機械の稼働時が大部分を占める。それゆえ、カーボンニュートラル実現のためには、よりCO2 排出量が少ない製品の開発が不可欠だ。bauma2022の日立建機グループブースは、そうした取り組みの具現化と言えるだろう。
とはいえ、電動化建設機械の普及のためには課題も少なくない。まず価格の問題。出荷台数が自動車に比べて圧倒的に少ない建設機械の場合、電動化建設機械はエンジン機の数倍になってしまう。さらに建設機械は建設現場で稼働するため、稼働時間や充電設備の問題も避けて通れない。そのためにも、建設機械メーカー1 社だけではなく、業界全体が協力し合ってさまざまな課題解決に取り組むことが求められる。
カーボンニュートラルは、電動化建設機械の開発や充電ファシリティの整備といったハード面だけでは達成しえない。ICT やIoTを活用した自律運転による作業効率化の推進などソフト面でのCO2 削減も重要だ。日立建機グループはこれからも、ゼロエミッションへの道を着実に進んでいく。