サステナギア最前線
気候変動対策やSDGsへの取り組みは、避けては通れない時代になりました。
ぜひ取り入れたい、サステナブルで身近なギアをご紹介していきます。
文/編集部
職人の命を守ってきた足場板を重厚感のある家具にアップサイクル
「ダイニングテーブル レギュラー」(131,000円・税込)やワークデスク、ストレージシェルフなど、注文を受けてから作られる家具はすべて一点もの。
一部商品はオーダーメイドも可能。
ダイニングテーブル:
[サイズ] 横130 cm×奥行き78 cm×高さ72cm
廃棄されてきた造船古材を地元企業が連携し家具に再生
造船の町、愛媛県今治市を拠点とする「瀬戸内造船家具」は、造船職人の足元を守ってきた足場板を家具に再生するアップサイクルブランドだ。足場板の素材は耐久性が高く腐りにくい国産杉板で、厚さは約5cm。大型船の造船時は1隻あたり約1万本の板が使われるが、その大半は役目を終えると手間と費用をかけて焼却処分されてきた。
「この板で面白いことがしたい」というシンプルな発想から生まれた家具は、使い込まれた木材独特のヴィンテージ感のある仕上がり。古材の風合いを生かすため、板の加工は必要最小限に抑えられている。テーブルの脚などのパーツには重厚感のある黒皮鉄(くろかわてつ)を採用。経年変化が楽しめる素材同士を組み合わせることで、長く使うほど味わいと愛着が増す仕様になっている。
ブランドの運営は造船会社、建設会社、PR会社の3社が対等な立場で行い、足場板の提供、家具の製造販売、ブランドプロデュースなど各自の専門性を生かし合う。ただし優先するのはそれぞれの本業であり、ブランドは“無理のない範囲で行う副業”という位置付けだ。
目標や利益にとらわれず、同志と面白いことを続けてきたら、古材の活用や「造船のまち今治」のPRといった地域貢献につながった。この“ゆるく長く続ける”というスタンスは、サステナビリティ実現のヒントなのかもしれない。