開発のキーパーソン達が描く “ConSiteがある未来”
ConSiteがあることでお客さまの現場、ひいては社会の姿も変わっていく。
開発を主導する2人がConSiteのこれまでと現在、そして未来について語り合った。
津久井 洋
部品・サービスビジネスユニット
カスタマーサポート事業部 ConSite 開発推進部
部長
岩崎史十
部品・サービスビジネスユニット
カスタマーサポート事業部 ConSite開発推進部
担当部長
岩崎:ConSiteを開発する以前に考えていたのは、国内で提供している部品サービスの営業を海外でも展開しようということでした。2010年頃のことです。ただ、全世界のサービス員にお客さま先へ出向くよう指示するのは難しいので、サービス営業の全自動化をめざしたのです。ですが当時は今のようなAIブーム以前で、アプリ開発やビッグデータの活用も進んでいません。先行事例もなく、すべて自分たちで開発するしかなかったのです。
津久井:その頃の当社はまだIT投資が進んでおらず、そもそも巨大なデータの活用自体が不可能でしたね。2013年にConSiteが国内で提供開始された当時、私は建設機械の開発部門にいたので「何、それ?」という状態で、実はConSiteが有効活用されるかどうかも疑問でした。例えば故障予測は統計データを基にしているので、予測が当たらないこともあります。しかし、それが続くと故障予測の信用性が低くなってしまいます。加えて、ConSiteを使うメリットをきちんと伝えられていなかったせいか、現場で聞くと「そんなものは使っていない」と言われるほどで、立ち上げ当初の担当者はかなり苦労しただろうと思います。
岩崎:ターニングポイントは、世の中のデジタル化が進むにつれて、既存の業務プロセスやフローを変えていくのが生産性向上への近道だという考え方が浸透したことでしょう。
お客さまの「良い体験」が価値を高める
津久井:ConSiteはソリューション単体で収益を上げるというより、部品サービス事業の中で代理店をサポートしようという狙いがあります。代理店がConSiteでお客さまに効率化や利益の創出といった良い体験をもたらすと、お客さまも喜び、ConSiteの認知度も上がっていく。こうしたバリューチェーン展開を志向しています。
岩崎:確かに、ConSiteはエンドユーザーに対して「これは機械の情報を提供するアプリで、月いくらで使えます」というようなビジネスモデルではありません。それゆえに、社内を説得するのには苦労しましたね。
ConSiteは機械の予防保全を見越した高品質なサービスに特化することで、部品販売等につなげていくことを意識しています。具体的には、オイル交換の目安の時期が来月だと分かれば、来月どの程度販売できるかを予測できますし、それが目標に届いていなければ営業に力を入れることで達成できる。そのように社内を説得していきました。
機械は、きちんとメンテナンスすればそうそう壊れません。ConSiteがあればシステムが勝手に見守ってくれるので結果的に機械が壊れず、人的リソースの有効活用や工期の厳守などにつながる。お客さまもそうした価値を期待できるからこそお金を払ってくれるわけで、それがお客さまと当社にとってWIN-WINになります。
津久井:機械が壊れにくくなると当社が儲からなくなるのではと言われますが、そうではありません。ライフサイクルコスト低減はお客さまにとって大きな魅力ですし、壊れにくくなることで日立建機への信頼度も上がります。そこをしっかりアピールし、理解されれば、次も日立建機の機械がほしいと言っていただけますし、お客さまとより強固な関係が築けます。ConSiteはそこをめざしたものだといえます。
“ConSiteがあるから
日立建機に”が理想
岩崎:先日、4年ぶりに当社主催の「Customer Support Global Conference」が行われました。4年前と比べるとConSiteに関する具体的な要望が増えました。それだけConSiteが浸透し、広く使われるようになったのだと思います。
今後は自社が最も得意とするデータの強みに磨きをかけたサービス提供により、その領域でのナンバーワンをめざしていかなければなりません。そのためには既存の常識にとらわれず、むしろそれを変えていこうという考えで臨めばいいのだと思います。
津久井:社内でも販促活動やカスタマーサポートなどさまざまな部署でConSiteに関する連携と活用が進んでいます。将来、デジタル化がさらに進んでいく中で、機械のビジネスも新車販売からレンタル、さらにはリースやシェアリングへとあり方が変わっていくでしょう。ConSiteもそうした時代を踏まえたサービスソリューションに進化していくのではないでしょうか。
また、ConSiteで稼働状況をモニタリングしたり部品の交換時期を把握したりすることは、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなどの社会課題解決にも貢献します。お客さまがConSiteで良い体験を重ねれば、当社のビジネスチャンスが広がり、世界に提供できる価値も高まります。最終的には「ConSiteがあるから日立建機の機械がほしい」と思っていただけるのが理想ですね。