サステナギア最前線
気候変動対策やSDGsへの取り組みは、避けては通れない時代になりました。
ぜひ取り入れたい、サステナブルで身近なギアをご紹介していきます。
文/編集部
壊れた器を美しく修復する「金継ぎ」を自宅で体験
「金継ぎコフレ」16,500円(税込)
セット内容:説明書、金継用上生漆、絵漆、テレピン油、プラスチックベラ、マスキングテープ、砥之粉、胴擦粉、磨き粉、耐水ペーパー、代用蒔絵筆、代用地塗筆、純金粉、毛棒、プラスチック手袋、小皿、スポイト、スプーン
古くから受け継がれる伝統技法で廃棄物を一点ものの芸術品に再生
「金継ぎ」とは、陶器などの割れや欠け、ひびといった破損部分を、漆と金で修復する伝統技法のこと。ただ直すだけではなく、接合部分に入った金の線により唯一無二の味わいが加わるため、「より愛着が深まる」と国内外で人気を集めている。
この金継ぎを自宅で気軽に楽しめるのが、堤淺吉漆店の「金継ぎコフレ」。同商品は天然漆や純金粉などの素材と、ヘラ、小皿といった、金継ぎに必要な道具一式をセットにしたもの。プロの職人による解説動画も用意されており、初心者でもわかりやすいと好評だ。
堤淺吉漆店は、1909年から漆の精製加工と販売を行う京都の老舗。国産漆の約7割を取り扱う。一方で、2016年からは“漆文化”を守るための活動「うるしのいっぽ」をスタート。ウルシの木の植栽をはじめ、素材としての漆や、漆製品の魅力を伝える施策にも力を注ぐ。
金継ぎコフレの開発もその一環だ。同商品には漆の魅力を伝えるだけではなく、「物を大切に使い、繋いでいくことの意味や重要性を伝えたい」という思いも込められている。
「壊れたら買い直す」ではなく、修復して長く大切に使う。大量生産・大量消費の時代だからこそ、金継ぎを通じてサステナブルな物とのつき合い方を見直してみてはいかがだろう。
金継ぎで修復された器。割れ目や欠けた部分が、美しい模様に。
植栽活動の様子。国産漆の生産量を増やすだけでなく、地元で育てたウルシと木材などで作られた製品を地域に流通させ、地産地消サイクルのモデルケースを構築することも目標としている。