サステナギア最前線
気候変動対策やSDGsへの取り組みは、避けては通れない時代になりました。
ぜひ取り入れたい、サステナブルで身近なギアをご紹介していきます。
文/編集部
課題と向き合うものづくりで耐久性の向上と環境負荷の低減を実現
歩いている最中に靴底が剥がれ、困った経験がある人もいるだろう。この問題を独自の製法でクリアしたのが、アメリカ発のアウトドア・フットウェアブランド「KEEN(キーン)」の防水トレッキングシューズ「TARGHEE Ⅳ(ターギー フォー)」シリーズだ。
同製品は接着剤の代わりに高温のポリウレタン素材で靴の本体部分と靴底を一体成型。靴が壊れる主な原因のひとつ、“接着剤の経年劣化による靴底の剥がれ”を防ぐ仕様になっている。
撥水加工は「PFAS(ピーファス)フリー」。PFASとは有機フッ素化合物の総称。分解されにくく自然界や生物の体内へ蓄積されやすいことや、人体への毒性の懸念から、国際条例で廃絶や使用制限が進められている。
環境負荷を低減したものづくり「CONSCIOUSLY CREATED:地球と人にやさしいツクリカタ」を推進するKEENは2014年からこの問題に着目。ケミカルフリーの防臭加工やリサイクル素材の活用を進め、PFASに頼らない製法の研究を重ねてきた。2024年には自社製品の100%PFASフリーを実現。近年はこのノウハウを広く公開し、業界全体のPFASフリーをめざす。
使うものの素材を知ることは、自分たちが暮らし、遊び、働く場所を守る一歩に繋がる。サステナブルな一足を通じ、身近な環境課題や自分にできることを足元から見直してみよう。