土工用振動ローラ自律転圧システムの開発
日立建機グループは、施工現場の安全性と生産性の向上を図るためのICT・IoTシステムや、人と協調して作業する自律型建設機械の開発に取り組んでいます。そのひとつとして、土工用振動ローラによる自律転圧システムを開発中です。
道路は、大きく分けて路床、路盤、基層、表層の4つの層から成り立ちます。土工用振動ローラは、土台となる路床の締固めで活用します。また、ダムや空港、宅地造成などの整備でも使用します。強靭なインフラを構築するためには、荷重を十分支持できるだけの強度を備えた土台を形成する必要があり、均一に踏み残しが無いよう機械を何度も往復移動させる必要があります。そのため、自律運転には高い走行精度が要求されます。
土工用振動ローラ プロトタイプ機
自律型建設機械向けシステムプラットフォーム「ZCORE®」を適用したプロトタイプ機で、実用化に向けた実証実験を行っています。プロトタイプ機には運転席がありません。施工ポイントまでの機械の移動は、オペレーターが搭乗せずに無線操作で行い、施工ポイントに到着後、モードを切り替え自律運転を開始します。自律運転中は、設定した経路を自動で走行、転圧し、経路上に障害物があれば自動で停止します。また、機械自身の動作状態や健康状態をLEDパネルでの表示やフラッシュライトの点灯、ブザー音などで周囲に知らせ、機械周囲の作業者と協調して施工を行います。
転圧管理システム
施工する転圧領域の設定と、機械の走行経路、転圧実施回数を管理・表示するシステムです。オペレーターは、無線LANを介して機械と接続したタブレット端末により、リアルタイムで転圧状況を確認できます。衛星測位システムを活用して機械の走行データを記録し、転圧回数を色の違いで表示できるため、踏み残しや転圧が不足している箇所も一目で確認できます。また、転圧記録をクラウドから取り出すことで、過去の作業内容の確認や、作業履歴の帳票を作成することも可能です。