平成24年(2012年)3月期決算発表説明会 主要な質問に対する回答の要約
Q:2012年度の中国油圧ショベル需要(外資メーカー)の見通しはいかがですか。
A:上期は引き続き対前年マイナスで推移し、新しい政権が始動し始める秋ごろから回復し年度全体ではプラス4%と見ています。当社は中国でのマイニング機械の受注に注力しており、同地域でのマイニング機械の12年度売上は、前期と比較して3倍を見通しています。
Q:原価低減を積極的に進めているそうですが、どの様に取り組んでいますか。
A:VEC(Value Engineering for Customers)手法を使い設計段階から部品個々の機能を見直しています。品質や性能を落とすことなく、本来の機能を見極め、材料の見直しや作り方の改善なども含めたトータル的な低減を進めています。なおこの手法は、日本の工場だけではなく中国などの工場にも応用し効果を上げています。
Q:マイニング(鉱山)機械の受注状況に変化はありますか。
A:中国における鉄鉱石需要の見通しが軟調であるなどの報道がありますが、エネルギー関係も含めたマイニング(鉱山)全体の投資は積極的です。当社は既に12年度生産分の受注がほぼ決まっており、13年度生産分の受注活動を始めるなど好調なことから、国内外で増産体制の拡充に着手しています。
Q:キャッシュフローの改善策について説明してください。
A:11年度は、積極的な増産投資などもありフリーキャッシュフローはマイナスとなっています。12年度は、売掛金の回収に努めると同時に棚卸資産の削減、リードタイムの短縮等を進め、期末にはフリーキャッシュフローの黒字化をめざします。
Q:日立建機の差別化戦略を教えてください。
A:建設機械の需要は、アジアやアフリカなどの新興国を中心に依然として強く、中長期的に建設機械は成長産業と考えています。この様な状況の中、韓国や中国メーカーの追い上げも厳しいものがありますが、いくつかの差別化戦略を考えています。
- 建設機械は過酷な現場でなおかつ微細な動きが要求されます。これを支える主要な油圧コンポーネントは、日本で開発、生産し、海外工場で本体に組み込む生産システムを取っています。これにより高品質の維持と技術の囲い込みをしています。
- 当社の機械の多くは「グローバル e-サービス」という機能を持たせています。これは機械の稼働状況や位置を通信衛星や携帯通信網で把握できるもので、遠く離れた場所に機械が動いていても状況を把握することができます。このようなICT技術は建設機械に必要なサービス対応などでお客様に評価されています。
- 建設機械に要求されることは今後益々高度になり、電動化やハイブリッドのような環境、省エネ対応、また自動化やロボット化などの方向にあります。当社は日立グループの子会社ですが、日立グループにはこのような多くの技術の蓄積があり、有効に使うことができます。具体的には2008年から順次市場投入しているAC(交流)式電動マイニングダンプトラックは、新幹線で培われた日立製作所の制御技術を使ったモータを採用しており、スムーズな登坂性能等顧客から好評を得、既に11カ国で100台以上が稼働しています。