EH3500AC-3、EH4000AC-3リジッドダンプトラックを発売
2014年12月11日
―「車体安定化制御」を実現するAC駆動方式ダンプトラック―
日立建機株式会社(社長:辻本 雄一)は、積載質量180tクラスのEH3500AC-3(公称積載質量181t、車両総質量322t)および積載質量220tクラスのEH4000AC-3(公称積載質量221t、車両総質量384t)リジッドダンプトラック2機種を、12月15日から世界の大規模鉱山向けに発売します。
本製品は、従来機より採用している日立グループの技術で開発したACドライブシステムを搭載しています。また、新たに本システムと各種センサ類から得られる車体状況の情報を組み合わせることで、車体のスリップやタイヤのロック、前後方向の揺れ、ステアリング時の横滑りを緩和する「車体安定化制御」を実現しています。
また、世界のお客様からの要望に応じ、エンジンを2社から選択できるようにしました。本対応は、2013年2月に発売したEH5000AC-3リジッドダンプトラックにも適用します。
今回の2機種の発売により、AC駆動方式のダンプトラック EH AC-3シリーズのラインアップを完成させ、高いシェアを誇る超大型油圧ショベルとともにお客様へ提供し、世界中の鉱山における生産性の向上に貢献していきます。
日立建機グループは、現在、中期経営計画「GROW TOGETHER 2016」の重点施策として、「マイニング事業の強化」に取り組んでいます。自律運転ダンプトラックをはじめとした高付加価値な製品の開発、販売・サポート体制のさらなる増強、新興国市場の開拓に取り組むだけでなく、ウェンコ社の運行管理システムを中心とした鉱山運営・機械管理の最適化の提案を行っています。今後も事業の強化のため、情報・通信、インフラ技術に強みを持つ日立製作所をはじめとした日立グループと連携しながら、世界中のお客様の「身近で頼りになるパートナー」をめざしていきます。
主な特長
1. 高い走行性能と生産性
- 高い応答性を持つIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)インバータを搭載したAC駆動方式を採用。これに日立グループで共同開発した制御ソフトウェアを加えて、走行モータのきめ細かな速度とトルクの制御を実現しています。発進時、登坂時やステアリング時にも、制御システムが最適な電力を即座にモータへ出力することにより、滑らかでレスポンスの良い加速を実現しています。
- 車体の状況を把握するセンサ類を追加するとともに、制御機器の高性能化を図り、車体のスリップやタイヤのロック、前後方向の揺れ、ステアリング時の横滑りを緩和する機能を有する「車体安定化制御システム」を同クラスで初めて搭載しました。これにより、より安定した走行が可能になり、世界の鉱山でのスピーディーな運搬サイクルを実現し、お客様の生産性の向上に寄与します。
- 強力な電気ブレーキにより、通常の減速操作では機械ブレーキを必要としないため、安定した
減速性能が得られるとともに、機械ブレーキの補修期間を延長できます。
2. 優れた操作性
- フルサイズシートが2席取り付け可能なワイドキャブ内には、大型ディスプレイをハンドル基部に配置。走行速度、エンジン回転数、積載荷重などの情報や警告を迅速かつクリアに表示します。また、稼働する地域に合わせた多言語表示にも対応し、安全性・整備性にも寄与しています。
- 強力な電気ブレーキシステムにより、通常時はアクセルと電気ブレーキの2ペダルの操作で運転が可能。オペレータの疲労軽減が図れます。
- ベッセル操作関係のレバー・スイッチ類をセンターコンソールに集中配置。片手でのベッセル操作可能としています。
3. 高い信頼性・安全性
- 従来機種における世界各地での稼働情報に基づき、メインフレームなどの車体構造物を改良、強化しています。
- 日立グループの協業で開発したAC駆動方式の主要機器である発電機と走行モータのベアリング部に温度センサを追加。異常発熱を検知した際に、アラームを発するとともに、走行動作を制限することにより、突然の機器破損を未然に防止しています。
- 積載質量測定システムを改良し、燃料タンク内の燃料質量の変動を積載質量の測定に反映することにより、誤差を低減しています。鉱山における生産量計測のさらなる信頼性向上を図っています。
- 万一の転倒や落下物による衝撃にも耐えるROPS/FOPS対応キャブ(運転室)、周囲の視界性を高める後方カメラ・右前方カメラ・2個の前方確認ミラー、630mm幅と余裕のある昇降階段や、点検時にエンジンを緊急停止できる4個のキャブ外スイッチなどを標準装備し、安全性に配慮しています。
また、操作環境の向上のため、ワイドキャブの特性を生かして、足元の空間を広げています。 - 全周囲安全確認支援装置をオプションで搭載可能です。
4. 優れた整備性・互換性
- 標準仕様のカミンズ社製エンジンに加えて、MTU社製エンジンをオプションで選択できるように設定しました。排出ガス規制のある北米地域以外の世界中のお客様からの要望に応じたエンジンの選択が可能となり、生産性や整備性の向上に寄与します。
- エンジン吸気フィルタ用ダスト排出バルブ、電動グリスポンプなどを新たに採用し、日常の整備性をさらに向上させています。
- 前輪を外さずに交換が可能なフロントサスペンション、地上からアクセス可能な集中給脂装置、バンパー上に配置されたバッテリーボックス・リレーボックス、キャブ後部に設置された整備用床面などを標準装備し、整備性に配慮しています。
- 油圧機器部品やエンジン部品について、AC駆動方式のダンプトラックおよび超大型油圧ショベルとの高い互換性を実現しています。
主な仕様
項目 | EH3500AC-3 | EH4000AC-3 | EH5000AC-3 |
---|---|---|---|
公称積載質量 (kg) | 181,000 | 221,000 | 296,000 |
ボディ容量 (山積/平積)(m3) | 117 / 80.4 | 154 / 106 | 202 / 148 |
運転質量 (空車質量)(kg) | 141,000 | 163,000 | 204,000 |
車両総質量 (kg) | 322,000 | 384,000 | 500,000 |
エンジン型式(標準:カミンズ社製) | QSKTA50-CE | QSKTA60-CE | QSKTTA60-CE |
エンジン定格出力(標準) (kW/min-1[PS/rpm]) |
1,491/1,900[2,027/1,900] | 1,864/1,900[2,534/1,900] | 2,125/1,900[2,890/1,900] |
エンジン型式(オプション:MTU社製) | 12V4000 C21 | 16V4000 C21 | 16V4000 C20L |
エンジン定格出力(オプション) (kW/min-1[PS/rpm]) |
1,510/1,900[2,053/1,900] | 1,864/1,900[2,534/1,900] | 2,125/1,900[2,890/1,900] |
全長 (mm) | 13,560 | 14,390 | 15,490 |
全幅(ミラー含む) (mm) | 9,130 | 9,330 | 9,600 |
全高 (mm) | 7,000 | 7,310 | 7,520 |
最高走行速度 (km/h) | 56 | 56 | 56 |
標準タイヤサイズ (-) | 37.00R57 | 46/90R57 | 53/80R63 |
注)単位は国際単位系によるSI単位表示。[ ]内は従来の単位表示を併記。
ニュースリリース記載の内容は、発表日現在の情報であり、その後予告なしに変更される場合もありますので、ご了承ください。