ライフサイクルコスト低減と生産性向上に貢献するトロリー受電式のリジッドダンプトラックEH5000AC-3を発売
2018年5月17日
日立建機株式会社(執行役社長:平野 耕太郎/以下、日立建機)は、トロリー受電式のリジッドダンプトラックEH5000AC-3を開発し、海外の大規模鉱山向けに2018年6月1日から発売します。
本製品は、2013年2月に発売したAC駆動方式のリジッドダンプトラックEH5000AC-3(公称積載質量296t、車両総質量500t)に、トロリー受電システムを搭載した製品です。今回のトロリー受電式のリジッドダンプトラックEH5000AC-3の発売によって、EH3500AC-3およびEH4000AC-3と合わせ、AC駆動方式のリジッドダンプトラックシリーズ3機種すべてでトロリー受電式の製品ラインアップを完成させました。世界で高いシェアを誇る鉱山用油圧ショベルとともに、お客さまに提供することで、大規模鉱山の多様なニーズに対応し、お客さまの課題である「ライフサイクルコスト低減」や「生産性向上」に貢献していきます。
AC駆動方式のリジッドダンプトラックは、エンジンで発電機を回し、そこで発生した電気を、ACコントロールキャビネット内のインバータなどの制御機器で制御した後、後輪の左右にあるドライブモータを駆動し走行します。
トロリー受電式のリジッドダンプトラックは、AC駆動方式のリジッドダンプトラックに搭載されているドライブシステムを基に開発された製品です。発電所を備える鉱山などで、坂道へ架線をあらかじめ設置し、登坂時に車体上部に搭載されたパンタグラフにより、架線に流れる電力を取り込むことで、効率的な走行を可能にしています。トロリー受電時は、取り込んだ電力でドライブモータを駆動させるため、エンジンで発電機を高回転で回す必要がなくなり、エンジンを低回転に保つことで、燃料消費量の低減を可能にするとともに、エンジンの負荷も低減できることから、メンテナンス費用の低減に貢献できます。
また、車体に搭載されたトロリーボックスで、トロリーからの受電で駆動するトロリーモードと、エンジン発電で駆動するディーゼルモードを円滑に切り替えるよう制御することで、切り替え時の荷こぼれ防止とタイヤの摩耗低減が図れます。なお、架線設備が設置されていない放土場、積み込み作業場および下り坂などでは、標準のリジッドダンプトラックEH5000AC-3と同様にエンジンで発電した電力で走行します。
さらに、トロリー受電システムの取り付けに必要な部品・コンポーネントは、標準機への改造搭載が可能で、鉱山の段階的な投資に合わせ、後にトロリー受電システムを導入したいというニーズにも対応しています。これにより、リジッドダンプトラックの導入時は、標準のAC駆動方式のリジッドダンプトラックとして稼働させ、発電施設や架線設備の完成に合わせて、トロリー受電式のリジッドダンプトラックに変更することを可能にしています。
日立建機のリジッドダンプトラックに搭載されるACドライブシステムおよびトロリー受電システムは、日立建機の持つリジッドダンプトラックの技術と、鉄道車両で培った電気駆動装置や発電設備を提供する長い経験と実績を有する日立グループの技術を結集したシステムです。
日立建機グループは、今後もマイニング機械において、日立グループの技術を生かして性能と信頼性を高め、さらなるお客さま満足の向上をめざしていきます。
主な特長
- 燃料消費量の低減
トロリー受電式のリジッドダンプトラックは、トロリー受電時にはエンジンを低回転に保つことが可能であるため、標準のリジッドダンプトラックEH5000AC-3と比較して、燃料消費量を低減することができます。
- 登坂能力の向上
荷を積載した状態で登坂路を走行する場合、トロリー受電時には、エンジン発電による駆動時の約2倍の速度での走行が可能です。このことにより、サイクルタイムが短縮されることで、生産量の向上に貢献します。
- エンジンメンテナンス費用の低減
トロリー受電時は、エンジンを低回転に保ち、エンジン負荷を低減することで、エンジンにおけるオーバーホールのインターバルを伸ばし、メンテナンス費用を低減します。
- CO2排出量の低減
トロリー受電時にエンジン負荷を低減できることで、機械自体からのCO2排出量が抑制され、環境負荷の低減に貢献します。
- 後付けのニーズに対応
トロリー受電システムの後付けを可能とし、発電施設や架線設備の完成に合わせてのトロリー受電式への変更も可能にしています。
トロリーモードおよびディーゼルモードにおけるエネルギーフロー
以上
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