ポジティブ・インパクト・ファイナンス契約を締結
2022年12月15日
中長期的な企業価値の向上をめざし、SDGs達成に向けた取り組みを一層強化
日立建機株式会社(執行役社長:平野 耕太郎、以下「日立建機」)は、本日、三井住友信託銀行株式会社(取締役社長:大山 一也、以下「三井住友信託銀行」)との間で、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を限定しない事業会社向け投融資タイプ)」の融資契約(以下「本件」)を締結しました。
ポジティブ・インパクト・ファイナンスとは、国連環境計画・金融イニシアティブ(以下「UNEP FI」)(※1)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」(※2)に則して、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資です。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、開示情報に基づきモニタリングを行い、エンゲージメントを通じて活動を支援していくことが最大の特徴です。
本件は複数の金融機関が融資を行う資金調達の仕組み(シンジケーション方式)で、参加する貸付人の一部は、本件をわが国の気候変動対応に資する投融資と判断し、日本銀行の「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション(※3)」による資金供給を受ける予定です。
なお、本ポジティブ・インパクト評価は、株式会社日本格付研究所(代表取締役社長:髙木 祥吉)より評価に関わる手続きのポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性について第三者意見(※4)を取得しています。
日立建機グループでは、「豊かな大地、豊かな街を未来へ…快適な生活空間づくりに貢献」という企業ビジョンのもと、これまでも事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、企業価値を高めてきました。SDGsへのアプローチとしては、日立建機グループの事業活動とSDGsの17の目標との関連性を整理し、特に注力すべき10の重点目標を設定しています。
本件の締結にあたっては、日立建機グループがSDGs達成に対しインパクトを与える以下4つのテーマについて定性的、定量的に評価を得ました。
今後も、バリューチェーン全体で新しい価値を創造することで、お客さまをはじめとする世界中のステークホルダーのみなさまと一緒にSDGs達成に向けて取り組んでいきます。
本件(シンジケートローン)の概要
契約締結日 | 2022年12月15日 |
アレンジャー兼エージェント | 三井住友信託銀行 |
資金使途 | 運転資金 |
貸付人(五十音順) | 群馬銀行、静岡銀行、常陽銀行、千葉銀行、筑波銀行、三井住友信託銀行 |
本評価の概要
日立建機グループがSDGs達成に対しインパクトを与える以下のテーマについて定性的、定量的に評価を取得。
カーボンニュートラルへの貢献
内容 | 目標と指標(KPI) |
・生産工程におけるCO₂削減 ・製品開発におけるCO₂削減 |
目標 ・生産によるCO₂排出量(スコープ1+2)を2030年までに2010年度比45%削減する ・製品からのCO₂排出量(スコープ3/カテゴリー11)を2030年までに2010年度比33%削減する ・バリューチェーン全体で2050年までにカーボンニュートラルを実現する ・「SBT1.5℃」水準の認定を2023年度までに取得(スコープ1+2及びスコープ3の削減目標それぞれについて) 指標(KPI) ・連結ベースでのCO₂排出量(スコープ1・2) ・製品からのCO₂排出量(スコープ3/カテゴリー11)及びバリューチェーン全体のCO₂排出量(スコープ3全体) ・「SBT1.5℃」水準の認定の取得状況(スコープ1+2及びスコープ3の削減目標それぞれについて) |
環境負荷の最小化、循環型社会の実現
内容 | 目標と指標(KPI) |
部品再生、中古車、レンタルサービス等の事業で構成される「バリューチェーン事業」を通じて、サーキュラーエコノミーに貢献 | 目標 ・国内における再資源化率を99.5%以上に維持する ・廃棄物削減量を2022年度に9,500t以上とする 指標(KPI) ・連結対象の国内拠点における再資源化率(産業廃棄物排出量に占める再資源化量の割合) ・連結ベースでの廃棄物削減量(再生事業において再利用できた部品の重量) |
現場の安全性・生産性向上への貢献
内容 | 目標と指標(KPI) |
建設機械の高度化により、世界中のインフラ整備に、安全性・生産性・ライフサイクルコスト低減を提供 | 目標 ・転倒・接触死亡事故「ゼロ」への貢献 ・生産性向上に寄与する製品・システムの開発・拡充 ・機械状態管理システム(ConSite)の普及率を2022年度までに90%以上とする 指標(KPI) ・連結ベースでの事故低減のための取り組み状況 ・連結ベースでの生産性向上に寄与する製品・システムの開発・拡充に向けた取り組み状況 ・連結ベースでの販売・レンタルした機械における機械状態管理システム(ConSite)の普及率 |
グローバル人財マネジメントの 推進
内容 | 目標と指標(KPI) |
多様な人財が活躍できる職場づくりとグローバルでの人財育成推進 |
目標 ・管理職比率について2030年度までに男女同率化する ・海外グループ会社の部長職のローカル比率を2030年度までに87%以上とする 指標(KPI) ・連結ベースでの女性管理職比率 ・連結対象の海外グループ会社の部長職のローカル比率 |
商標注記
ConSiteは日立建機株式会社の登録商標です。
関連情報
(※1)国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)
国連環境計画(UNEP)は、1972年に「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」の実行機関として設立された国連の補助機関。UNEP FIは、UNEPと200以上の世界の金融機関による広範で緊密なパートナーシップであり、1992年の設立以来、金融機関、政策・規制当局と協調し、経済的発展とESG(環境・社会・企業統治)への配慮を統合した金融システムへの転換を進めています。
(※2)ポジティブ・インパクト金融原則
UNEP FIが2017年1月に策定した、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた金融の枠組。企業がSDGs達成への貢献をKPIで開示し、銀行はそのプラスの影響を評価して資金提供を行うことにより、資金提供先企業によるプラスの影響の増大、マイナスの影響の低減の努力を導くもの。融資を実行する銀行は、責任ある金融機関として、指標をモニタリングすることによって、インパクトが継続していることを確認します。
(※3)気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション
日本銀行が、民間における気候変動対応を支援するため、適格担保を担保として、わが国の気候変動対応に資する投融資の残高の範囲内で、資金を貸付ける資金供給オペレーション。
(※4)ポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性についての第三者意見
株式会社日本格付研究所のウェブサイトをご参照ください。
日立建機について
日立建機は、油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械、鉱山機械などの開発・製造・販売・サービスの事業をグローバルで展開している建設機械メーカーです。新車販売以外の事業である部品・サービス、レンタル、中古車、部品再生などの「バリューチェーン事業」の強化に注力し、デジタル技術を活用することで、お客さまとのあらゆる接点において提供するソリューションを深化させています。世界に約25,000人の従業員を擁し、2021年度(2022年3月期)の連結売上収益は1兆250億円、海外売上収益比率は約79%です。詳しくは、日立建機のウェブサイトをご覧ください。
以上
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