遠隔操作ソリューションに対応した油圧ショベルRBTシリーズを発売
2023年11月7日
ICT施工やエリアコントロール機能で遠隔操作のサポートも可能
日立建機株式会社(執行役社長:先崎 正文/以下、日立建機)は、遠隔操作ソリューションに対応した油圧ショベル「RBT(アールビーティー)シリーズ」を、日本国内向けに2024年5月より発売します。
第1弾のラインアップは、遠隔操作を行うための「RBTリモコン」を備えた2機種の中型油圧ショベルZX200A-7(20トンクラス)と、ZX330A-7(30トンクラス)です。いずれの機種も、ZAXIS-7シリーズのICT油圧ショベルをベースとしており、遠隔操作でICT施工を行うことも可能です。販売目標台数は、2機種合計で年間10台を見込んでいます。
シリーズ名の「RBT」には、オペレータが車体に搭乗せずに働くロボット「READY TO BE ROBOT」という意味を込めています。日立建機は、遠隔操作ソリューションをラインアップに加えることで、施工現場への遠隔操作の導入を促進し、安全性の向上や労働環境の改善など、お客さまの課題解決に寄与します。
昨今、施工現場においては、安全性や生産性の向上、労働環境の改善、労働力不足による技能者の人財育成などが課題となっています。その解決策の一つとして、建設機械の遠隔操作や自動運転に対し、お客さまからの期待が寄せられています。
こうしたニーズに対応するため、日立建機は2020年8月に自律型建設機械向けシステムプラットフォーム「ZCORE(ズィーコア)」を開発し、2023年5月にはZCOREに基づき遠隔操作・自動運転ソリューションに対応した油圧ショベルの開発について発表しました。その後は、お客さまに実際に操作していただくなどの実証試験を通じて、現場導入に向けたさまざまなニーズを反映しながらブラッシュアップを行い、今回、「RBTシリーズ」としての発売に至りました。
現在、建設機械の遠隔操作は、災害復旧現場や人が立ち入れない環境での作業など、特定のシーンや業種において行われています。油圧ショベルで遠隔操作を行うには、機械の大幅な仕様変更が必要で、導入の手間や工数などが課題となっていました。
今後、一般的な建設・土木工事のお客さま向けに、遠隔ソリューションに対応した油圧ショベル「RBTシリーズ」を提供し、施工現場の課題である労働環境の改善、安全性や生産性の向上、人財育成の強化をめざして、お客さまとのさらなる協創を推進します。
主な特長
RBTリモコンを用いた遠隔操作が可能
RBTシリーズの油圧ショベルの遠隔操作は、RBTリモコンのレバーやスイッチを操作して行います。また、車体とRBTリモコンは双方向で通信しているため、油圧ショベルの操作に必要な車体の情報(車体とクローラーの角度、エンジン冷却水温、燃料残量など)をリモコン内のモニターで確認することができます。また、油圧ショベルの運転室内にあるスイッチを切り替えることで、オペレータが搭乗して油圧ショベルを操作することも可能です。
エリアコントロール機能やICT施工への対応で、遠隔操作をサポート
遠隔操作においては、建設機械の周囲情報が把握しづらい場合があります。この場合、オペレータは、別の映像システムなどで衝突・接触してはいけない対象物を確認しながら慎重に操作する必要があり、作業効率向上の妨げになるほか、オペレータの負担も大きなものとなります。
RBTシリーズの油圧ショベルは、機械の周囲情報が把握しづらい状況でも、エリアコントロール機能を用いて、油圧ショベルの動作範囲を予め制限することができます。遠隔操作の際、油圧ショベルが設定した境界に近づくにつれて動作スピードが減速・停止します。これにより、オペレータの負担を軽減することができます。
さらに、RBTシリーズの油圧ショベルはICT施工にも対応しています。遠隔操作においても、マシンコントロール機能を用いて効率的な施工が可能です。
ZX200A-7、ZX330A-7の主な仕様
項目 | ZX200A-7 | ZX330A-7 |
標準バケット容量 (m3) | 0.80 | 1.40 |
運転質量 (kg) | 21,000 | 33,300 |
エンジン定格出力 (kW/min-1) | 122/2,000 | 202/1,900 |
最大掘削半径 (mm) | 9,920 | 11,100 |
最大掘削深さ (mm) | 6,670 | 7,380 |
最大掘削高さ (mm) | 10,040 | 10,350 |
最大ダンプ高さ (mm) | 7,180 | 7,240 |
最大掘削力(昇圧時) (kN) | 158 | 246 |
旋回速度 (min-1) | 11.4 | 9.7 |
走行速度(高/低) (km/h) | 5.5/3.5 | 5.0/3.2 |
全長(輸送時) (mm) | 9,670 | 11,220 |
全幅(輸送時) (mm) | 2,840 | 3,190 |
全高(輸送時) (mm) | 3,060 | 3,330 |
後端旋回半径 (mm) | 2,910 | 3,600 |
最低地上高さ (mm) | 450 | 500 |
標準小売価格 (万円) | 3,599.4 | 5,609.1 |
注)単位は国際単位系(SI)による表示。価格は工場裸渡し、消費税別。
RBTリモコンの主な仕様
電波区分 | 特定小電力無線 |
周波数 | 920.6~923.4MHz(全15波) |
アンテナ | 内蔵 |
通信距離 | 約300m |
周波数選択方式 | 自動周波数選択 |
使用温度範囲 | -20~+70℃ |
電源 | リチウムイオンバッテリー 3.7V |
連続動作時間 | 約20時間 |
寸法(幅×奥行×高さ) | 360×180×188mm |
質量(ベルト含む) | 約3.0kg(約3.3kg) |
関連情報
日立建機について
日立建機は、油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械、鉱山機械などの開発・製造・販売・サービスの事業をグローバルで展開している建設機械メーカーです。新車販売事業に加えて、部品・サービス、再生(部品・本体)、レンタル、中古車の「バリューチェーン事業」を拡大し、革新的なソリューションをお客さまに提供する真のソリューションプロバイダーとして、お客さまと共に成長をめざします。世界に約25,000人の従業員を擁し、2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は1兆2,795億円、海外売上収益比率は82%です。詳しくは、日立建機のウェブサイトをご覧ください。
以上
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