「振動ローラ自律運転システム」のデモンストレーションを宮坂建設工業の現場で実施
2022年11月10日
日立建機株式会社(執行役社長:平野 耕太郎/以下、日立建機)は、2019年から取り組む道路機械の自律運転システムの開発の一環として、10月6日に北海道の宮坂建設工業株式会社(代表取締役社長:宮坂 寿文/以下、宮坂建設工業)と共同で、「帯広広尾自動車道 大樹町 大樹改良工事」(北海道広尾郡大樹町)において、国土交通省 北海道開発局 帯広開発建設部にフィールドを提供していただきまして「振動ローラ自律運転システム」のデモンストレーションを行い、実際の施工現場における自律運転技術の有効性を確認しました。
道路は、大きく分けて路体、路床、路盤、基層、表層の5つの層から成り立ち、1つの層を施工するごとに、異なる道路機械で締固めや敷きならしの作業をする必要があります。施工においては、均一に、踏み残しが無いように機械を往復移動させる必要があり、自律運転での施工には高い走行精度が求められます。
今回のデモンストレーションでは、日立建機が開発中の「振動ローラ自律運転システム」を搭載した土工振動ローラのプロトタイプ機*1(以下、プロトタイプ機)を用いて、宮坂建設工業が請け負っている高規格道路の改良工事のヤードにおいて自律運転を実施しました。そして、施工の効率性向上・安全性向上への貢献度を確認することができました。
*1 土工用振動ローラZC120S-6をベースマシンとし、遠隔操縦や自律走行の機能を搭載した開発機。外観的な特長は、運転室が取り外されている点。
実証実験の概要
- 日程:2022年10月6日
- 場所:北海道広尾郡大樹町(帯広広尾自動車道 大樹町 大樹改良工事)
- 内容:「振動ローラ自律運転システム」や「走行経路指示アプリ」*2の動作確認と有効性の検証、クラウド型転圧管理ソリューション「Solution Linkage Compactor」の活用。
*2 施工情報をもとに、タブレット上で機械の走行経路を複数パターン提案し、機械に指示することができるアプリ(試作段階)。
日立建機の道路機械における自律運転システム開発について
日立建機は、2019年より道路機械の自律運転システムの開発に段階的に取り組んできました。まず、機械の制御が比較的容易であるタイヤローラから着手し、現在は、自律化のニーズの高い土工用振動ローラを用いて開発を推進しています。
「振動ローラ自律運転システム」を搭載したプロトタイプ機による初めての施工は、2021年7月、宮坂建設工業が施工を担当している日立建機の浦幌試験場(北海道十勝郡浦幌町)で行いました。その時の改善点を踏まえて、2022年10月には、より高い施工精度が求められる高規格道路でのデモンストレーションに進みました。日立建機が試作した「走行経路指示アプリ」とプロトタイプ機を組み合わせて、施工情報に基づいて「走行経路指示アプリ」が提案した機械の走行経路パターンに従い、プロトタイプ機が走行して転圧作業を行いました。
宮坂建設工業と日立建機は、実際の施工現場において自律運転による転圧作業を効率的に行うために必要な機能について、意見交換を継続してきました。意見交換を通じて、自律運転による施工以外でも「転圧の施工管理を簡単にしたい」というニーズを得て、施工映像共有ソリューション「Solution Linkage Work Viewer Cloud」(2022年4月販売開始)とクラウド型転圧管理ソリューション「Solution Linkage Compactor」(2022年9月販売開始)などの開発にもつながっています。
日立建機は、今後も道路機械における自律運転システムの開発や実証実験を継続し、商用化をめざします。
日立建機グループは、「人と機械の最適な関係」をめざし、引き続きお客さまの課題を解決するソリューション「Reliable solutions」をお客さまと協創し、お客さまの課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト低減」に貢献していきます。
商標注記
- Solution Linkageは、日立建機株式会社の登録商標です。
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以上