製品開発|松山 拓馬
松山 拓馬
研究・開発本部 先行開発センタ コンポーネントグループ
2011年入社
※記事は2018年3月時点のものです。
信頼性を正しく評価して
お客様の信頼につなげる
パワートレインの負荷と寿命を評価
油圧ショベルに搭載されるパワートレインの信頼性評価方法の研究に携わっています。パワートレインの故障は油圧ショベルにとって致命的。お客さまに多大な損失を与えてしまうため、負荷と寿命を正しく評価することが不可欠です。力学シミュレーションを用いた評価や、新しい試験方法の考案など、研究内容は多岐にわたります。さらに、社外の研究会に参加して最新技術の動向を調査したり、海外のメーカーを訪問して現地のエンジニアとディスカッションを行ったりもします。内向きなイメージが強い一般的な研究職とは異なり、仕事のフィールドは、社内、国内にとどまりません。評価方法の研究で得たデータや知見を活かして、開発したものを売って利益を生み出す“攻めの研究”に挑戦したいと考えています。そのためには、異業種の知識を蓄積していくことが大切だと感じています。一見、建設機械とは関係ないように見えても、案外その中に、大きなヒントが隠されていることが多いからです。これからは、幅広い視野を持って、お客さまに最適なソリューションを提供する「身近で頼りになるパートナー」をめざしていきます。
4年がかりで達成した困難な研究
入社してから現在に至るまで、パワートレインのある重要部品の寿命を評価する研究に携わってきました。私が入社する以前から先輩方が取り組んでいたテーマでしたが、あらためて自分なりの目標を設定して研究計画を立てました。研究を始めるにあたっては、シミュレーションや計測技術といった専門知識の習得に力を注ぎました。その基礎になったのが、大学院で行っていた原子の動きを追跡するシミュレーションの研究です。建設機械とは無縁の研究でしたが、そこで身に付けた物理や数学の素養はとても役立ちました。日立建機の力だけでは実現が難しかった高度な作業に関しては、社外のスペシャリストの協力も仰ぎました。難度が高いテーマでしたが、おおよそ4年の月日を経てようやく形にすることができました。私たちの研究は、具体的に姿が見えるものをつくる研究ではありません。そのため、なかなか人に伝わりにくい側面があります。だからこそ、途中で投げ出さず、地道にコツコツやることが大事です。
「仮説」を用意する
日頃から心がけているのは、どんな仕事に対しても常に目的意識を持って取り組むことです。目的を明確に定めないまま、データを漠然と眺めていても何の知見も得ることができません。問題に直面したときは、間違っていてもいいので何かしらの「仮説」を用意しておくことが重要です。例えば、“どんな条件で実験を行えば良いか?”“どんな視点でデータを分析すれば良いか?”といった疑問が湧いても、「仮説」を立てておけば、次に取るべき行動がおのずと明らかになるからです。もし仮説が間違っていても、その都度修正するだけ。仕事のスピードと質は格段に高まるはずです。その「仮説」のバックボーンになるのは、やはり学生時代の学びです。例えどんな研究だとしても、その過程で蓄積した研究方法や追求する姿勢は必ずどこかで役に立つので、決して自分の研究を疎かにしないでください。日立建機は、数ある建機メーカーの中でも、さまざまなことに挑戦している会社です。能力を活かせるフィールドは必ずあります。