相村建設株式会社
新潟県上越市
土木部 工事管理グループ 課長
渡邉 正美 氏
土木部
齊藤 双葉 氏
会社概要
相村グループは1971年4月26日の相村建設株式会社設立を起点としている。これは上越市誕生(高田市と直江津市の対等合併による)3日前の出来事であった。以来、建設業を軸とした分社化を展開し現在に至っている。相村グループの経営理念は「創意と誠意」だ。グループ社員一人一人は、この理念をISOの業務の管理サイクル(計画、行動、評価、改善)の基準に据え、地域社会貢献に努めると同時に「創意と誠意」の意義を高め続けたいと考えている。相村グループの各社が郷土の偉人である上杉謙信公と良寛様のように尊敬され、親しまれ、誇りとなる存在になることを願っている。今後100年続くグループ企業を目指していきたい。
Solution Linkage Point Cloud
ICT勉強会を開催(日立建機日本協賛)
今回、相村建設がSolution Linkage Point Cloud(以下、SL-Point Cloud)を導入したのは、新潟県上越市の一級河川の関川における「令和4年度関川河道維持掘削外その1工事」だ。関川の維持管理に関しては、河川の現状や地域の特徴を踏まえつつ、洪水などの災害発生防止や軽減、河川の適正な利用、流水の正常な機能の維持、河川環境の保全等の観点から、河川の有する本来の多面的な機能及び、河川整備や管理によって確保される洪水を流すための器としての機能を維持することを目的としている。
本現場受注直後に相村建設と日立建機日本の2社間でICT勉強会を開催した。勉強会では、ICT建機にはじまり、Solution Linkageシリーズについても日立建機日本から紹介された。
ICT勉強会
土量進捗確認を行うために空中写真測量を自社内製化
土量進捗確認を行うために、従来は河道掘削土砂を台形に盛土・整形を行い、テープメジャーを用いて土量を算出していたが、計測中は重機作業を一時中止するなどの時間のロスが発生していた。現場稼働中に土量を算出したい際は、TLS(地上型レーザースキャナ)を使用していたが、重機の振動や機器の視準点が見えづらいなどの課題があった。
そこで土量計測における時間ロスを最小限に抑えるべく、ICT勉強会にて紹介されたSL-Point Cloudを活用した空中写真測量の自社内製化を決意した。
SL-Point Cloudは、ドローンの自動航行で撮影した写真をクラウドにアップロードするだけで点群生成ができる。今まで現場の状況を空撮で撮影するためだけにしか利用していなかったドローンを活用し、自社で空中写真測量が可能になった。
測量時の「工数削減」「安全性確保」「残業時間削減」につながる
空中写真測量を自社内製化したことで、現場作業を中断することなく1人で測量が可能になり、各搬出箇所ごとに空中写真測量を行うことで次工程に活かすことができた。従来必要であったバックホウによる河道掘削土砂の盛土整形作業の9時間(3時間×3カ所)は、必要なくなった。また、1回の土量の計測作業は丁張設置やテープメジャーでの計測など、2人で2時間程度を必要としていたが、ドローンで撮影し、その後にSL-Point Cloudで処理を行うと1人で1時間程度で完了し、約75%の工数削減の導入効果が見られた。導入効果は、測量工数削減だけではなく、重機作業中に安全に測量をすることができ、時間の制約がないので残業時間削減に繋がった。残業時間削減は、今後の「建設業の2024年問題」にも大きく貢献してくる。これらの大きな導入効果は、「生産性向上チャレンジ」の加点対象にもつながった。
SL-Point Cloudを導入するまでは自動航行を行った経験が無かったが、日立建機日本に相談しながら出来高管理を行うために毎週ドローン飛行するたびに徐々に不安も解消されていった。入社2年目ながら空中写真測量の撮影を行っていた齊藤氏は「学生時代に学んだ測量と違い、とても簡単に測量をできることを知れた。今後もSL-Point Cloudを測量業務に活用していきたい。」と話す。
降雪前の限られた時間の中でも出来高計測を完結
関川での河道掘削した土砂は他の場所へ移動し、土量の出来高算出を行う必要があった。豪雪地帯の上越市では12月の出来高計測は積雪予報を考慮して実施する必要がある。今回も土砂運搬が完了した日に積雪を観測しており、出来高計測ができなかった場合は、除雪を行わなければならない状況であった。
出来高計測を行った当日は悪天候であったが、少しの間天候が回復した時間があった。その時間帯にドローン飛行を行い、SL-Point Cloudを用いて空中写真測量を実施することで、出来高管理を行うことができた。「雪が積もると測量を行うために、雪が融けるまで待つか、除雪作業が必要になっていた。SL-Point Cloudを導入し、降雪前に自社で空中写真測量を実施できるようになったおかげで、除雪の工数や測量業者との調整が不要になった。」と渡邉氏は語る。
地域とつながり、恩返し
相村建設は港湾土木事業、土木事業、建築事業など幅広い分野で事業展開をしている。特に港湾土木事業の実績は豊富で、地域社会への貢献度も極めて高い。これまで直江津をはじめとする地域の方々に育てていただき、その恩返しの気持ちで、献血や海岸清掃、小学生への挨拶指導、中学生、高校生の職場体験・インターンシップの受入れなどを続けている。
地域を超えて
自然災害が猛威をふるう昨今、地域を超えた災害復興支援にも尽力している。東日本大震災では岩手県に復興支援の船団を送った。その後も豪雨災害からの復興等にも協力している。「これまで培ってきた技術力で、どこへでも駆け付け、いつでも役に立てる相村建設であり続けたい」と語られた。