遠藤建設株式会社
長野県北安曇郡池田町
会社概要
1934年に創業し、1954年に遠藤建設株式会社を設立以来、土木建設業を中心に歩んできた。砂防工事をはじめ道路工事、町の新たな産業を支える圃場整備工事も行い地域社会に貢献。
近年では環境にやさしい自然エネルギーである太陽光発電による売電事業にも参入し、これからも公共土木⼯事を通じて地域社会に貢献していく。
Solution Linkage Survey
圃場整備工事で発生する土量計測を簡素化したい
今回、遠藤建設がSolution Linkage Survey(以下、SL-Survey)を導入したのは、長野県北安曇郡の農業地帯の区画整理による大区画化や農業用排水路の更新を整備する「R4経営体育成基盤整備事業 会染西部地区7工区 区画整理工事」だ。この工事は、生産性の高い優良農地を確保するとともに、担い手に農地を集積し、地域の農業競争力を強化するのが狙いだ。
圃場整備工事では、複数の区画で発生する既存耕土や客土の土量を計測する必要があるが、整形や計測の手間があり、簡素化が課題であった。
SL-Surveyは、スマートフォンで位置情報を取得しながら計測対象物のまわりを一周して動画で撮影することで、土量計測が可能となるソリューションであり、計測対象を整形することなくそのままの状態で計測できるため、整形と計測工数を大幅に簡素化できると考えた。
バックホウによる対象物の整形作業工数を大幅に削減
今回SL-Surveyを活用し、土量計測を行った対象物は既存耕土29カ所、客土9カ所の合計38カ所だ。
従来は計測前にバックホウで四角錐台に整形作業を行う必要があった。約500㎥の土山の場合、約4時間かかる作業であった。
SL-Surveyは複雑な形状でも3次元化し、体積算出が出来るため、バックホウによる整形作業は不要になり、ブルドーザで約30分の整地のみで計測が可能になった。
人手をかけていた計測作業をひとりで実現
従来はテープメジャーで測量していたため、2人でメジャーを張り、1人が写真撮影するという作業を、1カ所の土山に対して、上面4辺、底面4辺、高さ4辺で3回ずつ、合計36回行うため約1時間を要していた。
SL-Surveyは計測対象物を一周して動画撮影するだけのため、計測作業は約5分で終わる。その後、3次元化し体積算出するために、写真をアップロードするが、スマホを持っていればどこでも作業が可能である。
今までは38カ所の土山を計測するために3人の作業員が5日間かけていたが、SL-Surveyの導入によって1人の作業員が1日で体積算出まで可能になった。
発注者立ち会いのもと、精度の不安も解消
新しいICTを導入するにあたり発注者立ち会いのもと、従来のテープメジャーによる測量とSL-Surveyの精度検証を行った。従来の計測では上底、下底、高さの計12辺をテープメジャーで計測し、オベリスク体積の公式を基に685㎥となった。SL-Surveyでの計測結果は692㎥となり、従来のテープメジャー測量による計測結果と比較し約1%しか誤差がなく、精度の不安が解消できた。
膨大な写真管理の削減に成功
土量計測のエビデンスとして各土山の計測風景の写真をまとめて提出する必要があり、従来は1カ所の土山に対して、上底4辺、下底4辺、高さ4辺を3枚ずつ撮影するため、36枚の写真を撮影し、管理していた。
SL-Surveyを導入したことで、計測画面のスクリーンショットを2枚(俯瞰図、鳥瞰図)をエビデンスとしてまとめるだけとなった。
38カ所の土山に対して従来は1,368枚の写真を管理する必要があったが、SL-Surveyではたったの76枚のスクリーンショットのみで管理することができた。
SL-Surveyを導入し、各工程で工数を削減し、生産性向上につながる
従来のテープメジャー測量では、38カ所の土山で整形作業に19日間、計測作業で5日間、1,368枚の写真を管理する必要があった。SL-Surveyを導入した結果、整形作業に2.5日間、計測作業で1日間、76枚の写真を管理するだけになり、生産性向上に大きく寄与した。
ICTで生産性向上を図り、地域貢献を行う
今までの土量管理ではダンプトラックの台数管理も行っていたが、過積載をしていないことを証明するためにも、SL-Surveyでの土量管理が一役を買った。今後も生産性向上に直結するICTを導入し、北安曇郡池田町を中心に周辺の街を活性化させ、より一層、地域貢献に力を入れていく。