福美建設株式会社
長野県駒ケ根市
会社概要
福美建設は、駒ケ岳の麓に位置する、長野県駒ケ根市に本社がある。駒ケ根市は、東に南アルプス、西に中央アルプスを望む、天竜川が街を縦断する自然豊かなところである。創業は昭和41年、再来年には60周年を迎える。長野県では土木事業を、愛知県、静岡県、松本を中心に中部地方ではインフラ保全事業を、太陽光発電施設建設事業は、全国を営業エリアとしている。
Solution Linkage Point Cloud
自社ドローンを活用し3次元データ測量を自社内製化
今回、福美建設がSolution Linkage Point Cloud(以下、SL-Point Cloud)を導入したのは、長野県の「令和3年度 天竜川水系矢立木砂防堰堤工事」である。施工現場の長野県下伊那郡大鹿村は過去に「三六災害」などの被害を受けており、土砂災害が起こりやすい地域でもある。そこでゲリラ豪雨などで山間部から土石流などが発生する被害が起きた際に、被害を最小限に抑えるために、既存の砂防堰堤を透過型砂防堰堤に構造変更する工事を行った。
従来の3次元データ測量における課題
今までICT施工を行う際は、3次元データ測量を測量業者へ外注していた。ICT施工導入当初は新しく覚えることが多く、3次元データ測量を自社で行うことは想定していなかった。しかし、ICT施工を徐々に実施していくにつれて、外注し続けていくことに課題を感じるようになった。
まずは測量業者への外注費用が高額に感じていた。次に、複数現場を請け負う測量業者に委託する場合、測量日の日程調整に時間を要す場合が多く、次工程の作業に影響が出て、工期遅延につながるケースもあった。
これらの課題を解決するために、日立建機日本からドローン写真測量ソリューションを提案され、導入を決めた。
自社保有ドローンでUAV写真測量を内製化
導入したソリューションは、自社保有のドローンで撮影した画像と、対空標識座標をクラウドにアップロードするだけで、自動で3次元点群データができるクラウドサービスである。今までドローンは写真撮影にしか利用していなかったため、導入当初は測量のための撮影方法を覚えるのは少し苦労をしたものの、点群生成は操作も簡単で手間がかからず、直感的に活用することができた。
従来の測量方法と比較し約86%の工数削減に成功
従来のトータルステーションやテープを活用した縦横断測量では、3人で56時間かかっていた。SL-Point Cloudを活用しUAV写真測量を自社で実施することで、1人で8時間で成果物作成まで完了することができた。1度の計測で、86%ほど手間を減らすことに成功し、自社に3次元データ測量のノウハウが残るのも大きなメリットであると感じた。
また、施工時の自社でUAV写真測量を行った3次元点群データがSL-Point Cloudのカタログの表紙にも採用された。
施工のタイミングに合わせた効率的な3次元データ測量を実施
本工事の次に受注した「令和5年度 天竜川水系飯島砂防管内施設整備工事」においても、SL-Point Cloudを活用し3次元データ測量を自社で行った。今までのICT施工現場で苦労しながら覚えた3次元設計データ作成のノウハウと、SL-Point Cloudを活用したUAV写真測量を組み合わせることで、起工測量、出来高算出、出来形管理のすべてを自社で対応可能となった。また、自分たちの任意のタイミングで利用が可能なため、適宜の現況把握や進捗管理にも活用することができるようになった。その結果、測量会社の日程待ちによる次工程への影響も回避することが可能になり、これまで外注していた3次元データ測量費用を抑えることができた。
ICTの便利さを実感し、着実に現場の効率化につながっている
片桐氏は、「ICTを導入した当初は自分たちが使い慣れていないために不具合が起きてしまっていたが、日立建機日本の手厚いサポートもあり、現場を重ねていくたびにICTの便利さを実感している」と話す。ICT機器のレンタル代などは、まだまだ高額であるとは感じているが、人件費は大幅に削減できることから、ICT対象工事でなくても、ICT導入は必須であると考えている。
「信頼」と「安心」に満ちた新産業・新企業へ
次の50年も社会から必要とされる会社であり続けよう、という決意を込め、創業者「久保田福美」の名を受け継ぎ、平成25年に社名を「丸福久保田組」から「福美建設」に変更した。土木、インフラ保全、太陽光発電所建設の3事業を柱に地方ゼネコンから広域的サブコンヘ大きく変貌を遂げようとしている。これからも、不撓不屈の精神で、未来の社会を築いていく。