株式会社早水組
北海道網走市
部長
竹原 尚志 氏
工事部課長
大友 靖浩 氏
会社概要
昭和23年に創業した総合建設業。 「自分の糧は 自分でつくれ」を社訓に地域に愛される企業であるために日々努力をしている。 百年企業をめざし「地域」をキーワードに、地域社会基盤を守る、地域防災の要になる、地域雇用を創出する--という3つの目標を掲げて活動している。独自にYouTubeチャンネルを設けるなど、先進的な取り組みを進めている。
やれるICTはどんどんやろう
竹原部長は、自社のICTへの取り組みについて、「代表からもできることから、どんどんやろう、と言われており、多面的に取り組んでいる」と強調する。土木部の仕事の半分を占める農業土木分野で試行を進め、ICT施工では3次元設計データ作成の内製化をめざしているほか、トラック運行管理にSolution Linkage Mobile(以下、SL-Mobile)、現場での土量計測にSolution Linkage Survey(以下、SL-Survey)を活用している。
ICT施工では、従来の2次元図面中心から、3次元での考え方にシフトする必要があるが、すでに社内の多くの技術者ができるようになっている。
竹原部長は、「特に40代以下の若い層では、3次元データをもとに測量することが浸透してきている。3次元の考え方は社内の技術者のうち3分の2程度まで理解が進んできた。ソフトウエアなどを手配して、線形設計を使うような現場が出てきたときに着実に取り組みができる体制を整えている」と話す。また、協力会社からもICT施工への取り組みを提案されることも増えているという。
地域建設業にとって、担い手の育成や新入社員の獲得は課題だ。
「苦労はしているが、企業説明会などでUAVを活用していることをPRしている。新入社員は、積極的に先進技術の講習会に参加しており、会社としても新しい技術を積極的に取り入れ、現場の負担軽減や安全性の向上に役立てていく」考えだ。
時間・コストを縮減(SL-Mobile)
大友課長は、2019年SL-Mobileを実際の現場に導入した。「2019年5月のCSPIエキスポ(建設・測量生産性向上展)に行った。ブースでSL-Mobileを知り車軸関係で使えると感じ、8月にダンプ12台にGPS端末を搭載して実際の施工に活用した」という。
これまで同社が手掛けた客土工事現場では、土量把握のため現場に「万棒表」と呼ばれるダンプトラック台数管理のための紙を渡しておいて、台数確認を行う作業員が印鑑を押す形で管理を行っていた。発注者も帳票を通して管理を行っていた。
しかし、台数確認のためだけに貴重な作業員を専任でつけるのは非効率だし、印鑑をもらうためにダンプトラックが停車する時間は数十秒でも、延べ5000台になると多くの時間が浪費される。
そこで発注者と協議簿を交わし、施工計画書に記載してSL-Mobileを導入することにした。
実際に使ってみて、大友課長は「SL-Mobileの導入後は捺印が不要になり、現場への入場もノンストップ状態で行えるようになった。日報出力機能を使うと、GPSの位置と時間でタイムサイクルがわかるようになった。金額的にも1人を専任でつけるよりもMobile導入にかかるコストのほうが安くなり、トラックがスムーズに走ることができるようになったので時間もコストも縮減につながった」と振り返る。
土量がすぐに分かり現場効率が上がる(SL-Survey)
Solution Linkageシリーズの活用はSL-Mobileだけではない。今年になって、造成工事現場で日立建機日本からSL-Surveyのデモンストレーションを受け、現場で体積計測を行った。
大友課長は「畑を造成するときに全体の勾配を修正する工事を行うが、この現場ではまず表土剥ぎを行い、一旦仮置きした土をSL-Surveyで体積計測し、その体積から仮置き土を戻すときの厚みを計算する用途で使えないか」と考えた。
SL-Surveyを実際に工事に活用した訳ではないが、「何度も計測を重ね、始めはコツが必要だと感じたが、何度か撮影と3次元化を体験するうちに手軽に体積計測できることが分かった」という。
体積計測以外でも、SL-Surveyで生成された点群データ(LAS)をスマートフォンから抜き出して、PCの点群処理ソフトでも利用したという。大友課長は「工事の中間で現場内の土量を知りたい場合などは、手軽に点群を取得できるツールとして可能性がある。利用できる工事・場面があれば使っていきたい」と話す。