株式会社聖興業
大阪府堺市
代表取締役
池田 博樹 氏
会社概要
株式会社聖興業は、木造の基礎工事や鉄骨造店舗の土工事などを中心に事業を行っていたが、徐々に事業範囲を広げ、今年1月からは不動産事業を始めるなど現在では土木工事を中心に広く展開している。施工は協力会社ではなく、自社施工でほとんどの工程を行う。従業員は現場に約30人。
日立建機のICTについて
池田社長と日立建機のICTとの出会いは「自社とは違う現場で、自動追尾型のトータルステーション(TS)を見て衝撃を受け、日立建機日本に問い合わせた」のがきっかけだった。
現在は、日立建機のICTバックホウ、ZX-200Xが一番のお気に入りだ。同社の行う工事は民間の土木工事が8割で、ほかに公共事業が2割程度で構成している。とくに住宅開発工事や店舗建築の土工、外構工事が多い。
こうした工事のうち、建築基礎の根切りなどでICTバックホウを積極的に利用している。
池田社長は「基礎の根切りは、3次元設計データまで作らなくても、根切りの平面図上のどこに自分がいるかを教えてくれれば十分。バックホウのオペレーターが掘削場所を理解して作業すれば、従来のような手元作業員の数が大幅に削減できる。また水平引きの制御は機械任せで、オペレーターは掘削位置だけに気をつければいい」と話す。
従来施工では、1台のバックホウに対して、手元作業員が2、3人、ライン引き2人が付き添う。だが平面図を入力したICTマシンコントロール(MC)バックホウがあれば、2人程度がついていればいいので、人件費削減に大きく貢献する。
加えて少子化による熟練オペレーター不足についてもMCは効果をもたらす。「熟練オペの技能とは、水平引き1mだけで勾配を合わせて掘削できるか、たとえ3mという長い距離でも精度良く合わせられるかの違いとなる。MCに熟練でないオペレーターが乗った場合、その差をなくしてしまう」と話す。
コストと償却
池田社長は、ICT関連のコストと償却について「ICT関連の機器は高価だが、自社の現場でどう使い、どのように償却できるかを常に考えている」という。
3次元MCバックホウは、前述のように人件費を縮減できることだけでなく、堀削土量についても効果を発揮するというのだ。
「従来の掘削だと、どうしても失敗を避けるために余分に掘ったり、整形し直したりすることがある。設計通りの出来形がキャビンからリアルタイムに確認できるので、オペレーターが無駄な掘り方をしなくなる。余分な土を出さなくてすめば、場外搬出する材料も減り効率があがる。こうしたことも粗利を上げる役に立っている」。
「自分たちは立方メートルあたりいくらの仕事なので、無駄な動きを減らして安全に早く積み込むことが必要」と強調する。
一方で、マンションなど大型の現場で20トンクラスのバックホウが毎日動く現場は少ない。粗利率の向上に寄与するのは、バックホウが動いている間だけとなるため、小型のバックホウにもMCをつけてほしいという。
「もしミニバックホウにMCを取り付けられれば、道路の小規模開削などに導入できる。人孔と人孔の間の施工で、距離と勾配だけでマシンコントロール施工ができれば格段に活用の幅が広がる」と分析する。
日立建機に望むこと
池田社長は、日立建機のICTバックホウについて「ラグビワールドカップで、日本がアイルランドに勝つほどのインパクトはまだない」という。
「当社には現在、40代から60代までのオペレーターが在籍しているが、ICT建機の操作には最低限スマートフォンが使えるくらいの知識が必要になる。もっと操作性を簡単にできないか」と提案する。
また「ICT建機であるからこそ、キャビン内の操作レバーを無くしてしまう程の独自で、先進的な驚きのある製品をいち早く市場に投入し業界を牽引するメーカーであってほしい」とも。
今後の日立建機には「もっとICT建機の魅力をアピールして普及させ、購入しやすい値段にしていってほしい」と望んでいる。