伊米ヶ崎建設株式会社
新潟県魚沼市
土木事業部 事業部長
奥村 圭太 氏
土木部 主任
髙橋 壮太 氏
土木部
鶫 元裕 氏
会社概要
お客さま、地域社会、そして従業員に対してよりよい企業となるために我々は努力し研鑽し続ける必要があります。スローガン「人、自然そして調和」に込められた想いである人々と自然が調和し豊かに暮らしていく社会の実現をめざし、我々は目標に向かって継続的に改善を続けています。お客さまの声、地域の声に積極的に耳を傾け、研ぎ澄まされた感性と優れた技術力をもって積極的に社会貢献できる従業員の集う会社をめざして歩みを続けています。
Solution Linkage Survey
圃場整備事業における土量管理方法に課題
今回、伊米ヶ崎建設がSolution Linkage Survey(以下、SL-Survey)を導入したのは、新潟県魚沼市の大浦地区における圃場整備事業だ。この工事は、農地の区画整理、農道の整備、農業用排水路を一挙に整備し、農業の生産性の向上を図る工事である。
圃場整備事業において、土量管理は非常に重要であり、複数の区画を管理する上で、早く土量を把握し、適切な管理が必要になってくる。
従来は、土量の計測対象をバックホウで整形し、2名の作業員がスチールテープを用いて土量計測していた。対象物の大きさにもよるが、バックホウでの整形作業には時間を要し、計測の待ち時間も発生する。本工事では25カ所の計測箇所があり、1日最大10カ所を計測することを求められ、作業時間と効率に課題を感じていた。
誰でも1人で簡単に土量計測が可能に
日立建機日本より、SL-Surveyの紹介を受け、圃場整備での土量管理に適していると考えた。SL-Surveyは、スマートフォンに専用アプリを入れ、位置情報を取得しながら計測対象物のまわりを一周動画で撮影することで、土量計測が可能となるソリューションだ。撮影後、スマートフォン内の専用アプリで動画から位置情報付きの画像に変換し、画像をクラウドにアップロードすると自動的に点群データが生成され、現場で土量の計測結果を確認できる。
計測対象を整形することなく、そのままの状態で計測できるのが特徴だ。一人で計測が可能で50㎥程度の大きさであれば、事前準備、撮影から土量算出まで30分程で計測結果が分かる。操作はスマートフォンのボタンを順番に押していくだけの簡単操作で、一度使えば誰でもすぐに計測ができるようになるところもポイントだ。実際、若手や女性社員でも一人で簡単に土量計測ができるようになった。
土量計測時間が大幅削減
SL-Surveyを導入することで、バックホウでの整形作業が不要になり、1人で計測できるようになったため、1カ所あたりの計測時間が約90分から約30分に短縮された。熟練オペレーターが減少する中、技術が必要な整形作業を行わなくても土量を計測できるようになり、計測するたびに導入効果を実感することができた。
Solution Linkage Point Cloud
ドローンによる空中写真測量でも課題
SL-Surveyで土量計測の効率化はできたが、ドローンによる空中写真測量にも課題があった。基盤整備後は、空中写真測量からの実測データを元に排水路の設置計画を行うが、写真解析と3次元設計データの作成に時間を要し、工事を一時的に中断してしまうことを課題に感じていた。
通常の写真解析ソフトウエアを用いる場合、基盤整備後、点群の生成完了までに1日程度かかっていた。点群生成後、排水路の設計データを作成する間、排水路を工事する作業員3人とバックホウ1台の作業を止めなくてはならなかった。
空中写真測量の写真解析時間を削減
そこで、以前に日立建機日本から紹介を受けた、Solution Linkage Point Cloud(以下、SL-PC)を思い出した。SL-PCはドローンによる撮影画像と対空標識座標をクラウドにアップロードするだけで、自動で3次元データを生成するクラウドサービスだ。
現場に対空標識を設置し、自社保有のドローンで撮影した画像と対空標識の座標を、普段使っているパソコンからアップロードするだけで、オルソ画像、点群データなどが自動的に生成される。今回の圃場現場での計測範囲(約2ha)では30分ほどで処理が完了した。クラウドでの処理中は操作やチェックが不要なため、他の作業や次の作業の準備時間に活用できるところも大きな特徴だ。
従来は、基盤整備後の夕方に計測を行い、夜間に点群データを生成していた。翌日、生成された点群データを基に排水路の設計データを作成するため、工事の進捗を止めてしまうことがあった。
SL-PC導入後は点群生成の時間が約200分から約40分に短縮されたため、計測当日に排水路の設計データを作成できるようになり、翌朝から排水路の工事に着手できるようになった。
魚沼の安全・安心を守るために
今後もICTをはじめとした新しい技術を積極的に導入し、活用し、若手・女性社員とともに、常に職場環境の改善に取り組み、働き方改革を推進していく。お客さまと従業員の物心両面の豊かさを追求し、従業員と事業が継続的に成長することを通じて、魚沼地域になくてはならない建設会社であり続けたい。