伊米ヶ崎建設株式会社
新潟県魚沼市
営業部 課長
坂大 博之 氏
土木部 主任
富永 智 氏
建設ディレクター室
小田 祐奈 氏
会社概要
お客さま、地域社会、そして従業員に対してよりよい企業となるために我々は努力し研鑽(けんさん)し続ける必要がある。スローガン「人、自然そして調和」に込められた想いである人々と自然が調和し豊かに暮らしていく社会の実現をめざし、我々は目標に向かって継続的に改善を続けている。お客さまの声、地域の声に積極的に耳を傾け、研ぎ澄まされた感性と優れた技術力をもって積極的に社会貢献できる従業員の集う会社をめざして歩みを続けていく。
Solution Linkage Mobile
除排雪の稼働時間管理を位置情報で簡単に
この度、同社がSolution Linkage Mobile(以下、SL-Mobile)を導入したのは、新潟県の魚沼地域における道路除排雪委託業務だ。主な目的は機械による除雪作業で、他の消雪作業と併用し、冬期道路交通の確保を図り、産業振興の安定と地域住民の安全を確保することである。
伊米ヶ崎建設は県道と市道の除雪に加えて、共同企業体で除雪・排雪業務を行っているが、本事例では県道の除雪における管理や課題を主に取り上げる。
県道除雪の路線延長は、伊米ヶ崎建設を含めた共同企業体4社で、車道で約34km、歩道で約15kmである。また、凍結防止剤散布の路線延長は約1.5kmとなる。
従来の除排雪における管理方法
新潟県では、道路上の雪をかき分け、通行可能なスペースを確保する「除雪」作業と、雪をダンプトラックに積み込み、運搬する「排雪」作業について、従来は以下の手法をとっていた。
排雪の管理方法は、稼働時間の管理を報告書で記録しており、ダンプトラックやバックホウなどは追加でタスクメータの記録による管理を行っていた。また、オペレータが必要事項を記入した報告書とタスクメータの記録を基にExcelを用いて排雪日報などを作成していたが、排雪箇所が多くなればなるほど報告書の記入ミスや日報の作成ミスが生じていた。
除雪の管理方法は、除雪機械については発注者が管理するGPSがあるため日報の作成の手間はないが、代わりに複数の施工箇所での月2回の写真の提出が必要である。重機が常に稼働している中、長年の経験で重機の稼働状況写真をミスなく撮影する必要があった。
除排雪業務における課題
稼働報告書は、オペレータが手書きで記入した報告書を管理者がExcelで手入力し、日報を作成していた。そのため、オペレータが記入する際や管理者が日報作成を行う際に人為的ミスが発生することや、オペレータが手書きで記入することも負担になっていた。また、タスクメータは製造中止に伴い、代用品を探していた。施工中の重機の稼働状況写真については、熟練の勘が必要になり労働者の高齢化に伴い、経験が浅い方々への伝承も必要になっていた。
運行管理ソリューションを導入し、除排雪業務の重機を管理
従来の管理方法での4つの課題を解決すべく、日立建機日本から提案を受けていた運行管理ソリューションのSL-Mobileを導入することにした。SL-Mobileは現場全体を位置情報でつないで、手軽に施工管理を効率化するソリューションだ。車載専用GPS端末はシガーソケットに挿すだけで、どこでもクラウド上で位置情報を確認できる。また、過去の履歴や走行ルートも、エビデンスに差異があったなど情報の不備があった場合にも遡って確認できるシステムである。
従来の管理方法における課題の解決
SL-Mobileを導入することで、複数の課題が解決できた。
まずは時間管理だ。駐機場の出入り時間の確認作業が削減され、伝言による管理も不要になった。また、オペレータにかかる負担も減った。
次に書類作成の削減だ。稼働日報の手入力時間の削減に加え、記載漏れなどの人為的ミスも事前に防ぐことが可能になった。
さらに、写真を撮り損ねるミスの軽減にもつながる。経験が浅い従業員でも、SL-Mobileで事前に撮影スポットを確認し、重機の位置情報を確認することで、先回りして撮影スポットで待機することができ、正確に重機の稼働状況の撮影が可能となった。
緊急時も位置情報を用いて早急な対応が可能に
課題に挙げたこと以外にも効果を感じることができた。
災害など緊急性を要する作業があった際に、位置情報を基に近隣車両に作業指示の連絡を行うことで、緊急時にいち早く対応することが可能になった。他にも、位置情報は除排雪計画にも活用できるため、コミュニケーションの面で作業の効率性が上がった。
また、故障やトラブルがあった際に、位置情報を基にどこで問題が発生しているのかが分かるので、土地勘があまりない従業員(県外出身者など)でもすぐに駆け付けることが可能となった。
タスクメータの代替機能で課題を解決
SL-Mobileを導入した当初はタスクメータの代替機能はなかったが、意見・要望を交わしながら日立建機日本、日立建機とともに機能改善を行ってきた。SL-Mobileを活用して、今までのタスクメータと同様の管理を行うために、検討や打ち合わせを何度も行い、機能改善し検証を実施した。結果、稼働エリア・速度・暖気運転時間などの必要情報を地図・グラフに表示、日報の出力にも反映する機能が完成し、2023年の秋にリリースした。今ではタスクメータの代替となる新機能を活用し、新潟県屈指の豪雪地帯でもある魚沼エリアで日々、除排雪業務に従事している。
魚沼の地図と笑顔をつくる
『お客様と従業員の物心両面の豊かさを追求し、従業員と事業が継続的に成長することを通じて、魚沼地域になくてはならない建設会社であり続ける』ことを目指し、日々取り組んでいる。また、伊米ヶ崎建設は働き方を改善することに力を入れている。残業や休日出勤を減らすために、IT を駆使したり、新しい職種を導入したり、最新の技術を使った工事を行ったり、情報を共有できる環境をつくったり、様々な取り組みを行っている。そのために大事なことは「変化」だ。伊米ヶ崎建設は自ら学び、変わり続けることで、お客様にとって満足いただけるモノづくりを行えるよう、日々の成長を大切にしている。