株式会社岩崎建設
香川県丸亀市
土木部次長
原口 祥司 氏
会社概要
昭和32年8月の創業以来、香川県の中讃管内を地盤とし、公共工事を中心に様々な社会インフラ整備を行ってきた。地域の安全安心を最優先に考え、住みやすい街づくりに貢献する姿勢を継続している。
台風や大雨などの災害時に復旧の要請に迅速な対応ができるよう、社内防災組織で定期的に研修会への参加や防災訓練を行っている。高品質の構造物を提供するため、社員一丸となって日々努力しながら、全社員の意識高揚に努めている。
ICT活用し作業効率を向上
スマートフォンで手軽に土量計測ができるSolution Linkage Survey(以下、SL-Survey)が活用されている現場は、「土器川河道整備外工事」などで、13,500m³に上る香川県の土器川下流での一級河川河道掘削を始め、上流での築堤工事などを行っている。着工してすぐに2件の追加工事があり、4カ所の同時施工になったが、会社から現場管理者3人の応援を頼み対応。緻密な施工計画と徹底した工程管理で乗り切った。
下流域の河道掘削工事は、潮が引いている時間帯しか作業ができない。工程表に作業可能時間を記入し、満潮時に待ち時間が出ないように作業内容、休憩時間などを調整・管理した。
また、河川内作業は5~9月と工事期間が限られているため、ICT建機を導入して施工履歴データを活用した。クラウドでICT建機の履歴データを参照できる「VisionLink」(Trimble社のサービス)で、掘削作業の進捗状況を確認しながら工程管理を徹底し、作業効率の向上を図った。
上流域でもICT建機を活用。盛土・転圧作業にはGNSSを用いたローラー転圧管理を採用し、巻出し厚管理や法面整形でも活躍した。
浚渫(しゅんせつ)の施工履歴が運転席内モニターに表示される(左)。河川内での作業(右)
Solution Linkage Survey
現場代理人の原口氏は、ICT建機導入の経緯について「掘削している状況が見えない河道掘削なので、ICT建機の導入は必然だった。発注者側にもICT施工を進めたいという意向があり、われわれ施工者と意見が合致した」と話す。
SL-Surveyの現場導入を決めたのは、現場独特の土砂処理にあった。
浚渫で発生した土砂は、基本的に鋼矢板の裏面に埋設しているが、それで使いきれなかった土砂は、左岸側に送って場外に搬出する。搬出土砂の中には、ごみ、木などの不純物が混じっている。これらを除去した後、粒径が30㎝以上の石も分別する。
原口氏は、「その数量を計測するために、SL-Surveyが最適だった」と話す。
約9,000m³の搬出土を岩塊選別した後、土砂は四国中央市に運搬する。岩塊については別の工区に運ぶため、岩塊の体積を計測する必要がある。
実際に現場ではSL-Surveyを使って撮影した。仮置きしておいた岩塊を撮影して3次元化し、クラウドからスマートフォンに返された点群データ(LASファイル)を、点群処理ソフトで解析した。実際に計算した数量は124.5m³で、そのデータから出来高計算書を作成、運搬費用の計算に活用した。
SL-Surveyは、平均断面法では必ず行わなければならない、計測するための成形作業が不要になる。現場に仮置きしたままの姿で体積が計測できるのがメリットとなる。