道村建設株式会社
山梨県北杜市
代表取締役社長
道村 隆司 氏
土木部 主任
小林 正佳 氏
会社概要
山梨県の北西部に位置する北杜市白州町にて、1953年に創業し、1969年に道村建設株式会社を設立以来、土木建設業を中心に歩んできた。周辺地域の中でいち早くICT施工に取り組んだ結果、同業者にもICT施工導入の機運が高まり、地域の土木建設業の発展に取り組んできている。
今回、道村建設がSolution Linkage Point Cloud(以下、SL-PC)を導入したのは、山梨県北杜市の「釜無川河川工事(大武川工区)(明許)」である。富士川の源流である釜無川は、峡北地方最大の河川であり、本県西部の水利に及ぼす影響は大きい。この工事は、流れは急激で、ひとたび出水すると山腹や渓岸を縦横に浸食し多量の土砂を伴って流れていく釜無川とその支流の治水を目的とする。
Solution Linkage Point Cloud
自社でICT施工の内製化に取り組む
以前、道村建設は県内の建設業者とICT施工を3件実施した経験があるものの、協力事業者に頼っており、自社のICT施工の知識が蓄積されないと感じていた。ある日、本工事を受注した際に、日立建機日本から「SL-PCを活用し、自社でUAV写真測量の内製化に一緒に取り組まないか」という提案を受けた。測量を自社で行うことは不安もあったが、日立建機日本の熱意と充実したアフターサポート体制を踏まえて、SL-PCの導入を決めた。
測量における外注費用を大幅削減
SL-PCはドローンの自動航行で撮影した写真をクラウド上にアップロードするだけで、自動的に点群を生成できるソリューションである。今までの測量業務は測量会社やUAV写真測量が可能な協力会社にすべて外注していたが、自社でドローンを購入しSL-PCを利用することで、外注費用を大幅に削減することに成功した。
約3ヘクタールの施工現場を従来の光波を用いた縦横断の断面管理で行うと、工数が約3日間かかっていた。そこで、UAV写真測量での計測にすることで約半日~1日で完了し、測量にかかる工数も削減することができたのだ。
さらに断面管理から面管理にすることで、より正確な計測ができるようになり、視覚的にも発注者への説明などで施工状況の説明が容易になった。
土量算出機能を精度のエビデンスに活用
SL-PCの機能のひとつである土量算出機能を用いて、エビデンスとして発注者に土量データも提出していた。浚渫や掘削で生じた土砂の運搬量を算出する際に、通常は福井コンピュータ製のTREND-POINTを用いていた。SL-PCの土量算出結果でもほとんど誤差が出ていないことから、「発注者へシステムの差異は無いことを証明するために、TREND-POINTとSL-PCとの誤差約1%の土量算出結果を提出することで、精度を証明した。」と小林氏は話す。SL-PCは点群を生成するのみならず、発注者への土量算出のエビデンスにも活用できた。
一連のICT施工の流れを自社で完結
SL-PCで現況を計測し、現況データから3次元設計ソフトを用いて3次元設計データを作成するようになった。ICT建機にその3次元設計データを取り込んで施工し、施工中に発生する設計データの微修正などにも柔軟に対応できるようになったのだ。また、今では3次元点群処理ソフトを用いて電子納品書類の作成も行っている。
ICT技術を活用し、地域の発展に貢献
本工事が完了した後もICT施工を複数の現場で行い、今では自社で確実にICT施工を実施できるようになっている。今後もICTを活用し、地域に根差した工事に対応していきたい。