大畑建設株式会社
島根県益田市
会社概要
「人の力が、未来をつくる。」 大畑建設株式会社は、昭和42年の創業以来、地域社会の発展と安心・安全な街づくりに貢献している島根県益田市の建設会社である。「ものづくり」は「ひとづくり」から始まるという考えのもと、技術の向上に加えて精神的な高みをめざせる会社として、全職員の継続的な成長と育成に注力している。2017年に健康経営優良法人として認定を受けて以来、8年連続で本認定を受けている。
令和4年度三隅・益田道路津田地区第4改良工事
大畑建設が施工した「令和4年度三隅・益田道路津田地区第4改良工事」は、山陰自動車道の延伸を目的とした益田市内の道路改良工事であり、切土約3万m3、盛土約6万m3を処理する大規模な土工事である。
当初設計では切土が約8万m3であったため、土砂の切り盛りは場内で完結できる見込みであったが、設計変更により切土が約3万m3に減少し、外部からの土砂を受け入れる必要があった。結果的に、大畑建設が施工する別の現場「令和4年度三隅・益田道路遠田地区第6改良工事」で掘削・改良された土砂を受け入れる計画となったが、数量調整に苦労することとなった。
改良土は日々現場に持ち込まれ、盛土も日に日に増えていく。大畑建設はそれらの数量が設計変更の範囲を超えないよう、細かく調整することが求められた。また、持ち込こまれた改良土は泥岩を石灰で改良したものであり、通常の土砂よりも土量が増えやすい性質をもつ。正確な土量を測るためには、改良土の敷均しと転圧を行ったうえで、こまめに計測する必要があった。一方で計測頻度が増えると、工数はもちろん費用もかかる。こうした背景から、土量を正確に、タイムリーに、安価に、把握する手段を探していた岡崎氏は、日立建機の点群生成ソリューション「Solution Linkage Point Cloud」(以下SL-Point Cloud)に注目した。
点群生成ソリューション
Solution Linkage Point Cloud
SL-Point Cloudは画像データと座標データをクラウド上にアップロードするだけで3次元点群データを自動生成するソリューションである。生成されたデータはブラウザ上で体積を測ることができ、パソコンにダウンロードして2次活用もできる。大畑建設は自社保有のドローンとSL-Point Cloudを組み合わせることで、空中写真測量の内製化と日々の数量調整に挑戦した。
岡崎氏は「まさか自社のドローンを使って、土量計測ができるとは思いもしなかった」と話す。「SL-Point Cloudがあれば測量作業を外注する必要がないため、外注費が抑えられるとともに、任意のタイミングで土量を見える化できる」と続ける。SL-Point Cloud導入後は、空中写真測量にかかっていた費用を月に約30万円も削減できたという。本工事は工期が約1年半だったため、費用削減のポテンシャルは約30万✕18カ月で約540万円となる。
岡崎氏からSL-Point Cloudの運用を任されたのは入社7年目の佐々木氏である。写真測量について日々学びながら、SL-Point Cloudで点群生成を行った同氏は、「写真撮影が上手くいけば点群データができる手軽さがよかった」、「点群と同時に生成されるオルソ画像が工事関係者への説明に役立った」と利用者視点の評価を教えてくれた。
「人の力が、未来をつくる。」
大畑建設を中心とした工事関係者の先進的な取り組みが評価され、本工事は工事成績評定82点と、発注者から大変高い評価をうけた。ICT施工や空中写真測量に取り組む同社に今後の展望を尋ねると、「ICT活用のさらなる内製化を進めたい」という答えが返ってきた。岡崎氏は、「もともとICTにそれほど積極的ではなかったが、もう避けては通れない時代になった」という。「人手不足を解消するには、若手人材を中心にICT活用をはじめとしたレベルアップを図るべきで、社内に佐々木氏のような人材を増やしていきたい」と説明する。「ものづくり」は「ひとづくり」、「人の力が、未来をつくる。」、大畑建設のミッションがそこにはあった。