西武建工株式会社
土木部
小松 将貴 氏
会社概要
「フェイス・トゥ・フェイス」の人間関係が会社のモットー。さらに合理的なシステムも最大限に活用しながら、お客さまと一緒になって最善の作品を練り上げていくスタンスで事業を進めている。お客さまの幸せを第一に取り組み、人間性を理解し合い、自社を信頼していただくことで、ものづくり企業である建設業の使命が果たせると考えている。「この地に暮らして良かった」と心から思っていただける方を増やし、美しい伊那谷(長野県南部)が発展するための担い手をめざしている。
3DMCで時間に余裕が生まれた
同社は、この現場で初めて3次元ICT建機の導入に踏み切った。現場は、国土交通省直轄の三峰川護岸災害復旧工事で、3次元マシンコントロール油圧ショベルとブルドーザーでの盛土、ローラーによる転圧管理にICTを活用している。
現場を担当する小松氏は、「ICT建機は構造物の基礎床掘りや法面整形に導入している。3次元のICTを導入して感じたことは、丁張が不要で、時間に余裕が出たこと。従来は丁張を10mごとに設置していたが、丁張レスになると、いちいちオペレーターが重機を降りなくても設計通りだとわかるのがいい」と話す。
「この現場以前は、ICT施工は2次元で行っていた。3次元になると、油圧ショベルが現場のどこにいるのかが一目瞭然で、オペレーターも慣れると2次元より使いやすいと3次元を評価している」
「油圧ショベル以外でもブルドーザーであればトンボ丁張で施工するが、丁張なしで一切手を加えないで盛土が完成するのが素晴らしい。転圧管理も、いちいちチョークで回数を管理せず、状況写真だけで管理できるようになった」という。
ステップアップして設計データ作成も
ICT施工でよくハードルになるのが「3次元設計データ」の作成だ。この現場では、設計データは測量会社が作成し、日立建機日本がマシンデータとして建機に移している。
「3次元設計データは、直線が多い現場であれば自社で作成して取り組みたいと考えているが、曲線が多い現場では、まだ敷居が高いと感じている。やはり現場の最終形を左右する大切なデータなので、はじめは測量会社にお願いした。設計変更への対応を考えると、社内で設計データを編集できれば度重なる変更にも機敏に対応できるはず」と、今後のICTへの取り組みに意欲を燃やす。
会社全体としてのICT施工への取り組みについては、「本格的なものはこの現場が初めてだが、今後、自治体発注の道路工事などにも挑戦する予定だ。今回の導入についても会社としての姿勢が決まっていたので、日立建機日本と話しながら3次元ICTを採用した」という。
同社では、ICT建機以外にSolution Linkage Mobileの導入実績もある。2020年10月から、スマホ2台、車載端末12台を利用し、浚渫土の場外搬出の運行管理に活用した。
メーカーに対して要望したいことは、「年配のオペレーターからは、ICT機器や画面のボタンが小さ過ぎるといわれることがある。パソコンを使ったことがない人もいるので、もう少し直感的に扱えるようなインターフェースになってくれると嬉しい」そうだ。