株式会社清水新星
高知県高知市
会社概要
株式会社清水新星は昭和46年に創立し、令和3年に創業50年を迎えた。解体事業から始まったが、時代の変化に伴い求められる役割も変化し、現在では豊富な経験と確かな技術を活かして多くの環境インフラ整備事業に携わっている。
そんな変化の中にあっても「街を創る」ことへの“想い”は変わっていない。「暮らしをより快適に、より安心・安全に、持続可能な街の未来を創造する」そんな想いで高知県民の皆さまのお役に立てればと考えている。
Solution Linkage Mobile
永瀬ダム緊急浚渫(しゅんせつ)推進工事
今回の現場は、高知県香美市にある永瀬ダム上流に堆積した約32,000㎥の土砂を、約50km離れた処理場や仮置場へ運搬する「永瀬ダム緊急浚渫推進工事」だ。近年頻発している豪雨に伴う広域的な山腹崩壊の発生などにより、土砂流入が浚渫量を大きく上回り、ダム貯水池で堆砂(たいさ)が進行している。ダム貯水池の洪水調整容量を確保するため、堆砂した土砂を計画的に掘削する工事である。
山中にある現場から国道に至る道路は狭く、ダンプトラック同士のすれ違いが困難で、スイッチバックが必要な箇所もあり、多数の誘導員の配置が必要であった。そこで清水新星では、誘導員とダンプトラック、またダンプトラック同士の有効な連絡手段がないか検討していた。日立建機日本からの提案でSolution Linkage Mobile(以下、SL-Mobile)の存在を知り、導入してみたところ、ダンプトラック同士の位置や運行状況の確認が可能となり、スムーズなダンプトラックの運行管理を実現した。
SL-Mobileを導入した当初は、「スマートフォンの操作に慣れていない運転手に利用してもらうには苦戦した。」と濱田氏は振り返る。比較的操作に慣れている若年層の運転手にはスマートフォンを持たせ、操作に慣れていない運転手にはシガーソケットに挿すだけの車載専用GPS端末を割り当てるなどの工夫で、課題を克服した。
また、複数の荷下ろし場がある中で、複数台のダンプトラックをグループ化し、先頭車両にはスマートフォン、中間や最後尾車両には車載専用GPS端末を搭載する運用方法を採用した。先頭車両の運転手をリーダーとし、他のグループの先頭車両との位置情報を活用して、スムーズなダンプトラックの運行管理を実現させた。さらに、運行ルートもSL-Mobile上で設定し、スマートフォンに表示させることで、荷下ろし場へのルート指示の簡素化にも成功した。
ダンプトラック運転手の安全意識が向上、煽り運転のクレームもSL-Mobileで解決
土砂搬出時に最大30台/日×3往復のダンプトラックが走行し、過去の工事では地域住民の苦情が多かった。従来同様にKYマップの事前確認やダンプトラックの運転手への安全運転教育に加え、SL-Mobileを活用した「抜き打ちパトロール」も行い、ダンプトラックの運転手の安全意識を向上させた。
SL-Mobileでのダンプトラックの位置情報から、休憩場所も確認ができ、駐停車可能エリアかどうかも確認できるようになった。また、ダンプトラックの煽り運転のクレームがあった際も、SL-Mobileで発生時刻の速度を確認することで、煽り運転をするような動きがないことも確認できた。
「ダンプトラックに端末を取り付けることで、制限速度の順守など、従来以上に運転手の安全の意識を向上させることができた。」と濱田氏は語る。
バックホウのオペレータやガードマンの作業効率の向上に貢献
バックホウのオペレータや誘導員もSL-Mobileのスマートフォンを持つことで、現場全体の作業効率が向上した。オペレータは他の作業を行いながらダンプトラックが積み込みに戻ってきたことを確認、ダンプトラックの待ち時間を削減できた。
また、誘導員は目視に頼らずにスマートフォン上でダンプトラックの位置を把握することで、休憩時間を確保できるようになった。
Solution Linkage Assist
新しい補正情報取得の提案からICT施工が可能に
ICT施工を本格的に導入したのは今回が初めてだ。これまでもICT建機を利用した経験はあるが、GNSS基準局の設置や通信環境の整備など、ICT建機のセットアップに敷居の高さを感じていた。
ICT施工を行うには、ICT建機の位置を測量するため、現場内に固定の基準局を設置し、位置補正情報を取得する必要がある。しかし、地形条件により、現場から離れた事務所にしか基準局を設置できず、また、現場と事務所が離れていて、基準局の補正情報がICT建機に届きづらい状況であった。そこで、3DMCバックホウがインターネット経由で補正情報を受信するIBSS(Internet Base Station Service)を採用した。IBSSを採用することで、隣接する工区とも補正情報を共有することが可能となり、価格も抑えることができた。
ダム貯水池での浚渫掘削では、計画通りの洪水調整容量を確保するため、正確な施工が重要となる。ICT建機で掘り過ぎを抑制するとともに、バックホウの施工履歴データを活用することで、施工状況の管理と、出来形管理も実施することができた。
今後もICTを積極活用、新3Kに「かっこいい」を加えた4Kへ動き出していく
本現場のICT活用工事では、起工測量以外は外部業者に発注せず、自分たちでICT施工を実現、今後の工事でも生かせるノウハウを獲得することができた。
近年、土砂運搬にあたって現場のイメージアップの改善要望があったため、清掃活動や環境保全、粉塵対策を徹底した。その結果、工事完了時には周辺地区の方々からも「今回の工事はきれいによくやってもらえた」と感謝の言葉もいただいた。
建設業で3Kといえば「きつい」「きたない」「危険」。
そんな話は過去のもの。いまでは、新3Kと呼ばれる「給与」 「休暇」「希望」を実現するためにさまざまな取り組みを行っている。
そんな3Kに清水新星ならではの「かっこいい」を加えて動き出していく。