有限会社高橋建設
高知県高岡郡津野町
取締役
高橋 伸幸 氏
会社概要
昭和41(1966)年1月創業。
主に高知県及び津野町発注の道路等の工事で地域基盤を支える企業。地元に根付き、地域社会の発展に貢献。常に時代を先取りした技術を追求するべく努力を続けている。
ICTへの取り組み
高橋建設は、高知県発注の「国道439号社会資本整備総合交付金工事」でICT施工に初めて取り組んだ。この現場では、高知県初のICT活用工事として現場講習会も行っている。
そもそも、同社の取引先だった県内の測器会社(株)富士と日立建機日本(株)の連携による現場のサポート体制を評価頂き、3DMC油圧ショベルZX200X-6の導入を決めた。またこの現場では、UAV測量、3次元点群処理、3次元設計データ作成、UAV出来形管理も導入した。
高橋氏はICT施工について「初期投資はどうしてもかかるが、そのメリットはある。必要となるソフトも自社で購入した。1現場で元はとれないが、使えば使うほど償却でき、ノウハウも蓄積する」と話す。3次元設計データも高橋氏自らが作成している。
ミニバックホウに3次元MG
高橋建設では、最近、小規模な土工現場で4トンクラスのミニバックホウに3次元マシンガイダンス(MG)を導入した。
現場は国道の拡幅工事で、現道から谷側に降りた場所に新たな擁壁を構築するための地盤をつくる。大きな建機は入れないため、4トンクラスのミニショベルで複雑な設計を施工しなければならない。(トップ写真が設計データ)
「これまでにも同種工事の経験はあったが、従来施工だと掘削位置確認するための丁張が必要になる。掘削後にも確認用の丁張が必要なので、常に測量が必要になってくる。さらに建機の掘り残しは人力が必要で、仕事の効率がとても悪かった」。
そこでICT施工を導入したところ、非常に高い効果があったという。「これまで最低4人は必要だった建機周りの作業員がまったく必要なくなった。設計データがあることで、測量の待ち時間もなくなり仕事のスピードが格段に上がった」と振り返る。
コストと効果
高橋氏は、ICT建機導入に関わるコストについて「一般的な建機に比べて費用はたしかに高いが、手元の人間が常駐せず、人力作業も大幅に少なくなる。自分で設計データを作成したり、ドローンを飛ばすことができれば、外注コストもかからない。作業員の動きや重機の遊び時間など全体の工程を見て、全体最適を考えるとプラスになる」と考えている。
「ICTを入れることや、評価点を取ることが目的になってしまうと進歩がない。現況をドローンで撮ったり、3次元データを作るには辛抱が必要だが、現場を重ねていくうちに、それが自社のノウハウになり財産になってくる」。
「自分は3次元設計や点群生成、点群処理などのソフトを購入して、とにかくやってみるというスタンスで取り組んでいる。新しいことに取り組んで、できたときが非常に嬉しい。こんな取り組みに日立建機は一生懸命付き合ってくれる」。
ICT施工とは
ICTについての考え方を聞いた。「使い勝手がわるいとかいう以前に、良くなるように自分で工夫してやることが必要。機械の特性や性能に合わせて現場が工夫する。そこで現場の課題がまた上がってきて、建機メーカーに解決策を提案し、現場とメーカーがお互いに良くなっていけばいい」。
「機械は使い方。例えば共用している道路が現場に隣り合っていれば、設計データに仮想の壁を作っておけばバケットは止まる。難しく考えず、気構えないICTをこれからも進めたい」。
※トップの画像は、ミニバックホウに搭載した3次元設計データ。複雑なモデルを高橋氏が自ら作成した。