高尾建設株式会社
富山県富山市
建設部技術管理幹事
杉山 誠一 氏
会社概要
大正12年の創業以来、高尾建設は数多くの自然・環境整備工事を手がける。全国有数の「暴れ川」として知られる常願寺川水系の治水工事をはじめ、土木および土木建築工事を通して独自の技術を培ってきた。人と自然が調和した環境づくりが求められる今、高尾建設では各種プラント整備や最新の技術を導入。施工品質はもちろん文化性や美的感覚などを追求しながら、より快適で暮らしやすい郷土づくりをめざしている。
スゴ谷骨材プラント
富山県の立山山麓に高尾建設のスゴ谷骨材プラントがある。富山市内からは車で林道を走り、2時間程度かかる奥地に位置している。冬場は、積雪が約4m近く積もる場所で、10月下旬にはプラントを閉鎖し、職員は山を下りる。
ここでは日々、砂、25mm、40mm、80mmとそれぞれの粒径の骨材を製造しているが、この在庫管理にSolution Linkage Survey(Standard版)を活用している。
手作業からSL-Surveyへ
Solution Linkage Survey(以下、SL-Survey)は2020年5月後半から、製造した骨材の在庫計測に利用を始めた。製造した骨材は、材料ごとに週一度のペースで計測している。最大の計測対象は、1万m³以上ものボリュームになる。
現場は本社と離れているため、詳細な情報共有が難しい。製造した骨材量を毎週月曜日に、ふもとの本社に報告する。SL-Surveyの導入前は、製造後にベルトコンベアから落ちて積もったものを、底辺の長さと高さを測り、三角錐計算で算出、比重をかけて重量を出す。またその写真を撮って、帳票に貼り付ける。「きれいな円錐だと計算しやすいが実際の形は違うので差が心配だった」(杉山氏)という。
製造した砂などのストック量については、製造場所からストック場所に移動するホイールローダーの運搬回数から計算していた。
杉山氏は「これまで作業日報で備考欄に回数を記入してチェックしていたが、SL-Surveyの計測精度を確認したところ信頼性があったので全面的に採用した。きちんと根拠のある数字がでるのでありがたい」と話している。
何度も計測すれば慣れてくる
導入後は、本社との連絡もスムーズになった。「そろそろ25mmのストックが減ってきた」となると、製造の対策を協議する。足りない製品があればすぐに製造できるような対策を行っている。
以前、在庫量の把握にUAV(ドローン)を飛ばして写真測量で計算することも検討した。だが、UAVで撮影した写真から3次元モデルを作成するのは時間も手間もかかる。そこで同じ原理で手軽に計測できるSL-Surveyを採用した。
採用当初は、撮影方法やアプリ内での基準面の作成などに戸惑うこともあった。逆光で撮影してうまくモデル化できないこともあったが、「今はそれほど失敗することもない。計測回数を多く経験することで、撮影のコツや体積計測に必要な領域設定の仕方にも慣れてきた」という。
現在、会社に提出する帳票は、計測対象の山をカメラで撮影して表計算ソフトに貼り付け、SL-Surveyで計測した体積と比重をかけた重量を記載して作成している。杉山氏は、今後はこうした帳票にも、アプリで計測した画面をスクリーンショット保存して利用することなどを考えたいと話している。