寺尾運輸興業株式会社
神奈川県横浜市
代表取締役社長
出村 輝彦 氏
工事部 部長
上原 憲人 氏
会社概要
寺尾運輸興業株式会社は「コンプライアンスの遵守と安全第一での施工」をモットーにしており、重機土工や立坑掘削などの土木工事や、残土・産廃運搬などの一般貨物自動車運送を通じて、インフラ整備や街づくりに貢献している。これまでICT・IoTソリューションを積極的に取り入れてきた同社は、来年創立50周年を迎え、日立建機と二人三脚で現場のDX化を一層、促進している。
Solution Linkage Mobileによる現場の生産性向上
「都市計画道路上郷公田線道路建設工事(仮称)桂町トンネル」では、寺尾運輸興業が約5万㎥の掘削と土砂搬出を担っている。坑内からずり出しを行う大規模な施工だが、ダンプトラック運行管理ソリューションSolution Linkage Mobile(以下、SL-Mobile)を活用することで、施工は順調に進んでいる。本ソリューションは、スマートフォンの位置情報を用いて、ダンプトラックや建設機械の稼働状況、作業進捗が確認できるほか自動で1日の運搬回数をカウントでき、さらに、ダンプトラックの接近を重機オペレータにスマートフォンから通知することができる。
出村社長はSL-Mobileについて、「重機オペレータはダンプトラックの位置を確認し、戻って来るまでの時間を他の作業に充てて、ダンプトラックの接近通知を受けると積込準備を行うようになった。これにより無駄な待機時間が減り、目には見えない生産性向上へとつながった」と話す。
位置情報によってダンプトラックが指定エリアに入ったことをスマートフォンに通知
Solution Linkage Alert Viewerを通じた現場の安全性向上
現場では生産性向上と同時に安全性も求められる。今回の現場は狭小なトンネル坑内であり、死角が多く作業員と重機の接触事故が起こりやすい環境だった。そこで出村社長は、人や障害物を検知し動力低減・減速・停止を行う、衝突被害軽減アシストAERIAL ANGLE® STEPⅣ(以下、STEPⅣ)を搭載したICTショベルと、事務所にいながらリアルタイムに安全管理ができるSolution Linkage Alert Viewer(以下、SL-ALV)の導入を決めた。
SL-ALVは、STEPⅣにより人や物体を検知した際の前後1分の動画をクラウド上で管理者に通知し、どこからでもリアルタイムにヒヤリハットを検証できるソリューション。検知された回数をヒートマップで表示し、現場内の「どこが」危険かを一目で把握できる。またレポート機能により、検知情報を自動で集計し周囲検知方向・24時間検出傾向などの情報に細分化され、「いつ」「どの作業で」危険があるのかが分かり、現場内のKY活動に活用することができる。
SL-ALVを実際に利用している現場監督の上原部長は、「ヒヤリハットの情報がリアルタイムに確認でき、重大事故が起きる前に作業員に対して不安全行動を指摘できる」と話す。同氏は続けて「レポート機能を使えば、機械周りのどこに危険があるのかが分かるので、安全巡回や朝礼で注意を促すなど事前対策が可能になった。レポート画面はPDFでの出力が可能で、安全管理の状況を一次請負事業者へ容易に説明できる」と安全性向上を強調した。
出村社長は「今後もSolution Linkage®を活用し、生産性の向上・安全性の向上を通じて、従業員の待遇改善をめざしていく」と語る。ICT・IoTソリューションを活用し生産性を飛躍的に向上させることで、激変する社会に適応し続けてきた同社だが、今後は安全面に関してもこの業界をリードする存在となるだろう。