東亜建設工業株式会社
東京都新宿区
会社概要
東亜建設工業は、1908年の創業以来、鶴見・川崎臨海工業地帯の造成に始まり、国内外で埋立・浚渫や港湾・橋梁・空港建設など、人々の生活や産業を支える多くの大規模プロジェクトに携わってきた総合建設会社である。『高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす』という社是のもと、「人」と「技術」を礎にして、社会インフラの整備に貢献し、時代のニーズに合わせて領域を拡大しながら、未来を創造する企業をめざしている。
和歌山下津港本港地区泊地(-13m)等浚渫工事
本工事は和歌山本港においてグラブ浚渫船による泊地浚渫を行うとともに、4隻の土運船で浚渫土を阪南港まで海上運搬し、土砂投入を行う工事だ。
浚渫場所付近はフェリーや貨物船の往来があるため、事故防止にむけた港利用者との綿密な調整や、警戒船配備などの安全対策がとられている。
同様に海上運搬の際も、運搬経路付近に航行船舶や漁船の往来があるため、細心の注意が求められる。しかし、海上運搬は港内作業とは異なり、経路上に目印となるものが少ないため、土運船に対してタイムリーな安全対策を打つことが難しいという課題があった。
スマートフォンをもつだけ 海上の現場を「見える化」し安全性向上へ
海上運搬を効率的に、そして安全に行うためには、土運船の位置をリアルタイムに把握することと、土運船への注意喚起を都度行う必要があった。現場代理人を務める宗氏は、対応策を検討するなかで、日立建機日本のダンプトラック運行管理ソリューションSolution Linkage Mobileに着目した。
Solution Linkage Mobileはスマートフォンなどの位置情報を用いて、現場の管理業務を効率化するソリューションだ。専用のスマートフォンを起動するだけで利用可能で、現場関係者はWeb管理画面やスマートフォン上で、現在地の確認やメッセージのやりとりができる。通常はダンプトラックや積込用の重機、安全誘導員がこのスマートフォンを携帯するが、宗氏はそれぞれ、土運船、浚渫船、警戒船にも活用できるはずだと考えた。宗氏の見立て通り、海上運搬においても現場が「見える化」され、安全性向上と作業効率の向上が実現された。
「土運船がいつ到着するのかは、海象の具合によって大きく左右される。導入後は土運船の位置を常に把握できたことに加え、船が接近していることを通知する機能のお陰で作業の段取りがしやすくなった。」と宗氏は話す。
本ソリューションの運用を担った御手洗氏は、安全性向上につながった点を振り返る。「フェリーや漁船が多い箇所をあらかじめ注意喚起エリアとして設定することで、その位置を通過する土運船のスマートフォンにアラートを発することができる。その結果、海上の目印がなくとも都度、安全意識を高めることができた。」
左写真: Solution Linkage Mobile Web管理画面②(黄色エリア:入出港船への注意喚起)
右写真: Solution Linkage Mobile スマートフォンのイメージ
さらなる安全性向上をめざして~広がる活用シーン~
「浚渫船の位置履歴を用いて、フェリーなどを退避したエビデンス作成ができるのでは?」「警戒船にもスマートフォンを搭載することで、警戒船が貨物船に接近することを防止できる。従来は目視で確認して電話で離れるよう指示していたが、その工数も減らせるはず。」御手洗氏達は今後の活用案をすでに検討しており、その議論は熱を帯びる。
他工種で利用される技術であっても、創意工夫次第で活用シーンを広げられることを、東亜建設工業は教えてくれる。