湯川建設株式会社
宮崎県延岡市
会社概要
昭和26年創業の湯川建設株式会社は、宮崎県延岡市に本社を置く地元密着型の建設業者である。「未来にのこるモノづくり」という信念のもと、国、県、市など公共事業(道路・橋・堤防・下水道工事など)が95%以上、その他土木工事、舗装工事などを中心に事業を展開している。国土交通省から工事成績優秀企業として複数回認定を受け、また建設雇用改善優良事業所として知事表彰も受賞している。
Solution Linkage Mobile
河道掘削工事におけるダンプトラックの運行管理
湯川建設が日立建機 のダンプ運行管理ソリューションSolution Linkage Mobile(以下SL-Mobile )を導入した現場は、国土交通省発注の「令和4年度 野田・松山地区河道掘削工事」(約27,000㎥)と、「令和5年度 五ヶ瀬川・大瀬川中流河道掘削工事」(約27,000㎥)。両工事とも五ヶ瀬川の水位を下げて減災・防災につなげることが目的であり、通水断面の拡大や河道掘削で発生した土砂をほぼ同期間にダンプトラックで場外搬出する。
現場付近は交通量が多いことに加え、積込場と荷下ろし場間の距離は18kmあり、往復で70分ほどかかる。ダンプトラックにトラブルが発生した場合、管理者は迅速な対応を求められる。また限られた時間のなかで54,000㎥(2現場計)もの土砂を運搬するには、無駄のない運搬計画と効率的な搬出作業が鍵となる。
「現場の作業効率を上げつつ、交通災害を予防できる手段はないか」と考えていたところ、日立建機日本からダンプ運行管理ソリューション SL-Mobileが紹介された。
場外搬出作業の安全性向上
SL-Mobileは位置情報を活用することで、現場の管理業務を効率化するソリューションである。スマートフォンは専用アプリを起動するだけ、また車載専用GPS端末はダンプトラックのシガーソケットに差し込むだけで利用できる。現場管理者は常に重機やダンプトラックの現在地を確認できるだけでなく、ダンプトラックの走行速度、ルート、駐車位置などの運行状況を見える化できる。
現場管理責任者の伊藤氏は「運行計画は念入りに行うが、それでも搬出開始後はトラブルが起きないか不安」と話す。「ダンプトラックのオペレータには法定速度の遵守を指示しているが、実際の走行速度は気になる。従来はデジタルタコグラフ(デジタル式運行記録計)で速度を確認していたが、リアルタイムではないことがネックだった」と同氏は続ける。「SL-Mobile導入後はダンプトラック全台の速度をリアルタイムに確認できるようになったため、速度を超過する車両の早期発見につながった」また、「結果的に、オペレーターの安全運転意識向上につながり、施工期間を通じてクレーム・交通災害共に0件を達成できた」と導入効果を振り返る。
重機積込の作業効率向上
一方、もう1つの現場を担当する中尾氏は、SL-Mobileが現場の作業効率向上にもつながったことを教えてくれた。現場は約27,000㎥の土砂を半年で搬出する計画で、日々19台のダンプトラックが積込場と荷下ろし場の間を行き来する。「19台のダンプトラックが固まって走ると、一般車両の走行を妨げるだけでなく無駄な待ち時間が生じる原因となってしまう。その状況は可能な限り避けたいが、現場からはダンプトラックの位置が分からない」「SL-Mobile導入後はダンプトラックの現在地を現場や事務所から確認できるようになり、翌日以降の配車計画やグループ分けの精度が上がった」と中尾氏は評価する。
さらにSL-Mobileのエリア進入通知機能が重機作業の効率化につながったという。ダンプトラックの接近を通知するエリアを設定することで、作業を行う油圧ショベル のオペレータは、運転室内に設置したスマートフォンでダンプトラックの到着タイミングが読めるようになる。これにより油圧ショベルはダンプトラックが戻ってくる直前まで河道掘削に専念できるため無駄な待ち時間が減るなど作業効率が向上した。
湯川建設がめざす未来
ダンプトラックの運行管理によって現場の作業効率と安全性の向上を両立した湯川建設。今回の取り組みは同社の創意工夫の一例であり、その他にもICT施工や測量の内製化を通じて、さらなる生産性の向上を図っている。今後取り組んでいきたいこととして、3次元データの取り扱いやICTの機器を専門に扱う人財を採用・育成していきたいという。 良い人が集い、良い会社が成り立ち、良いものを作る。「未来にのこるモノづくり」の実現にむけて、湯川建設はこれからも歩みつづけるだろう。