常陽建設株式会社
茨城県取手市
代表取締役 飯田 憲一氏
モノづくりをしている我々にとって、生産性を上げ、品質を高めていくことは永遠のテーマ。
それが今、ICTやIoTによって進化しているが、このテーマは終わることなく延々と続くものだ。
技術力を高め利益をしっかり出せば、人材が集まる。そこでいいモノが造れ、さらに利益が出て賃金も上がる。結果、より良い人材が集まり、さらにいいモノが造れるようになる。
当社では新入社員への教育を徹底している。上に立つ者が新人を観察し、巻き込み、そして誘導していく方法だ。保育園から専門学生まで、幅広い年齢層を対象に当社で定期的に「現場見学会」もICTをはじめとする先端施工技術を見せることで業界の担い手になってもらえることを願ったものだ。
i-Constructionに象徴される情報化施工は現在の人材不足を補うと同時に高い技術力が遡及できる魅力要素でもある。
i-Constructionに先立ち、早期から情報化施工に取り組みノウハウを築きあげてきた同社が、ICT油圧ショベルZX200X-5Bを選んだ理由は何か。
「 まず、日立建機が造ったICT油圧ショベルの性能を試してみたかった。結果は上々。現場は河川敷のため降雨による影響を受けやすく、一時的な水が溜まりやすい。しかも泥水なので目標の深さまで掘削するのにオペレータはバケット刃先が目視できない。
ポンプで排水しているが追いつかず、深いところで水深20㎝近くになる。だが、3Dの設計施工データを基に掘削深さを設定することにより、ZX200X-5Bのマシンコントロール機能が過掘りすることなく、バケットの刃先を一定の深さで動くよう制御してくれる。オペレータもモニタで監視ができるので安心だ」(常陽建設㈱ 工事部 課長 品村氏)
従来の施工方法だと、掘削後に補助作業員が測定器を持ち、水の中へ入って施工の出来具合を確認しなければならなかった。「 それだと身体的にも負担が大きい。しかも1mピッチにせよ2mピッチにせよ、人手による測定の場合はピッチ間が計れないので戻り手間が発生することもある。だがZX200X-5Bによる情報化施工であれば、設計データに基づくコントロールで掘削するため補助作業員による測定が不要で、しかも施工精度が高く、品質はかなり向上する。この作業工程で、生産性は約2割アップしているだろう」(品村氏)
建設分野の労働力不足を補い、生産性向上や品質確保につなげる情報化施工。
「 土木の現場が全てのICT建機に代わるまでは、まだ15年程はかかる」と品村氏は予測する一方で、「日々進化するICTに併せて最適な工法や機材なども変わるため、常に最新情報を得ておきたい」と語る。
経験とノウハウ、豊富な情報量を有する同社。取材後、現場へはZX200X-5Bが追加でレンタルされた。