国土開発工業株式会社
神奈川県厚木市
所長 菊地 圭司
ICT担当技術課長
田巻 友和
会社概要
昭和48年6月に日本国土開発株式会社から重機土工部門が分離独立する形で誕生。同社の伝統である重機土工のDNAを活かしながら「製造から施工まで一貫した建設サービス」を提供できる建設会社として社会へ優れた工事を提供し、発展への寄与を目標として企業活動を展開している。
【現場紹介】
同社の建設部門では、神奈川県厚木市に本社があることを生かし、『地域に密着した企業』として国土交通省を中心に神奈川県や近隣地方自治体発注工事への積極的な取り組みを行っている。さらに最先端技術を活用した精密かつ正確な重機土工施工技術の蓄積とノウハウの活用に挑んでいる。
今回、日立建機のICTを展開しているのは、関東地方整備局横浜国道事務所が発注した「H30厚木秦野道路秦野西IC改良(その1)工事」。
神奈川県秦野市菖蒲地先の厚木秦野道路(仮称)秦野西IC予定地で、路体盛土工、ボックスカルバート工等の道路改良工事で、約4万5,000m³の路体盛土工を行った。
現況測量には、UAV、レーザースキャナーを併用して3次元測量を行った。法面整形では「ZX200X-5B」でマシンコントロール(MC)のICT技術活用施工を導入、層状転圧管理では、MCブルドーザー、振動ローラーでICT技術活用土工に取り組んだ。出来形の確認などには自社で購入したGNSSローバーを活用した。工期は平成30年7月12日から平成31年4月30日まで。
【施工での感想】
同社土木部の田巻友和ICT担当技術課長はMCでの施工について「コントロールボックス画面を見ながら施工の指示ができるので、オペレーターが施工をイメージしやすい。熟練のオペレーターが使用すると、より施工効率が向上した。経験の浅いオペレーターが敷き均し感覚のコツをつかむのにMCブルドーザーは非常に良い」と話す。
測量面では、UAVとレーザースキャナーの使用で、通常10日かかる作業が1日に短縮できた。計測した点群データは重機配置計画にも活用し、立体的に現場を捉えることが可能になったほか、掘削量や盛土量も速やかに算出できた。
「ICT建機のコントロール画面を切り替えることで、建機の位置や計画高さが“見える化”される。画面には、施工断面や平面図が表示でき、施工品質が向上する。丁張設置作業も不要なので、重機と作業員との接触事故のリスクがなくなり、安全性も向上する」と評価する。
一方で、3次元設計データの作成は、多くのソフトウエアを扱うためデータ作成者の負担が大きいこと、経験がないと変化点に必要な横断図追加が気付きにくい為、多重チェックが必要だという。
菊地所長は「ICT建機は、規格値には入るが見た目の出来栄え等改良の余地はあるが、施工性・安全性の面で便利だ」と総括する。
この現場には、未来の建設業の担い手となる地元高校生約40人も見学に訪れ、最先端の建設施工を興味深く学んだ。同社は、現場に応じて保有しているICT自社機械の配置や3次元設計データ作成等の内製化を目指し取り組んでいる。