株式会社野添土木
鹿児島県鹿児島市
代表取締役
野添 導博氏
工事課長
中村 雅昭氏
会社概要
株式会社野添土木は、鹿児島県の桜島に本社を置き、桜島を含む大隅半島や鹿児島市内の道路・砂防工事を中心に事業を展開している。県内でも早くからICT施工を導入し、国土交通省のi-Construction大賞や、九州地方整備局からの表彰などの受賞実績がある。
ICT施工を導入したきっかけを、代表取締役の野添導博氏は次のように語る。「国土交通省の後押しもあって、ICT施工を行う業者は入札の際に加点されて総合評価が高くなる工事もあります。現場からの要望があったこともあり、将来を見据えICT施工に積極的に取り組もうと考えたのです」
とはいえ、それまでは2次元の設計図面しか扱ったことがなく、どこから始めればよいか分からない。そこで、外部のパートナーの協力を得て、ICT施工の導入を決めた。そのときの工事は2017年3月に完了し、その間の努力と実績が国土交通省に認められて、前記の「i-Construction大賞」優秀賞受賞に至った。
実績を重ねるうちに、野添氏をはじめ従業員はICT施工の効果に手応えを感じていた。野添氏は「施工だけではなく、起工測量から出来形管理までのノウハウを自社に蓄積し、経営の武器にしたい」と考え、ICT施工に積極的に取り組んでいくことにした。
共同作業でノウハウを蓄積
そのような中、2018年に野添土木は東九州自動車道・川久保地区のICT施工対象工事を受注した。橋台をつくる土台部分の盛土工事である。この工事で、起工測量から3次元設計図面作成、施工、出来形管理までの一連のICT施工を自社で取り組むことに決めた。パートナーに選んだのは日立建機だった。何度も意見交換を重ね、ドローンや設計ソフトの習得支援、精度向上が見込まれる基準局の提案、導入後のフォローなどさまざまなサポートを日立建機から受けた。お客さま独自の施工体制を構築し、ノウハウを蓄積しながらICT施工が進められる段取りを組んだ。
工事課長の中村雅昭氏は次のように振り返る。「急ぎの仕事である上に設計変更が何度かあったので大変でしたが、3次元設計データ作成までは当社で行い、ICT建機への入力は日立建機が行うという具合に、自社で可能なことは自社で取り組み、必要なところはサポートを受けることで、乗り越えられました」(中村氏)
しかし、時には機械の調子が悪くなることがある。そんなときは、電話一本で日立建機の担当者が現場に来たという。「パソコンを持ち込んで、その場で対応してくれたので、すぐに工事を再開できました。現場は山中で通信環境が悪かったため、直接顔を出してくれたのはありがたかったですね」(中村氏)
特に法面の仕上げが楽に
オペレータ歴20年という工事部の岩ノ上進氏は、ICT施工について次のように語る。「ICT施工のおかげで、特にのり面の仕上げが楽になりました。また、日立建機の油圧ショベルはコントローラが手元にあるのが使いやすいですね。少しの違いですが長いスパンでみると、工期短縮につながります」
丁張もトンボも不要で、しかも美しく仕上げられるため、現場で働く社員や関連会社の人たちも、すっかりICT施工になじんでいるようだ。
「現在、設計コンサルタントから渡される設計データは2次元ですが、この段階から3次元になれば、生産性は大きく高まるでしょう。同時に、ICT施工がさらに普及してコストダウンにつながることを期待しています」(野添氏)