宮坂建設工業株式会社
北海道帯広市
代表取締役社長 宮坂 寿文氏
i-Constructionの導入効果について言えば、傾斜面でも丁張り不要など安全性は格段に向上する。また現場規模が大きいほど起工測量や出来形管理での工期短縮が図れ、施工品質向上にもメリットがある」
一方で、収益性についてはまだ期待するまで至っていないというが、「単発の収支ではなく、労働人口の高齢化を見据えたコストとして発注者の理解も得ながら取り組んでいきたい」
日立建機については、現場第一主義の姿勢がいつも感じられる。地味だが(笑)、技術は一流。信頼は厚い。従ってパートナーとして選定する企業にも信頼がおける。
北海道・帯広市を拠点に、道内で総合建設業を営む宮坂建設工業株式会社。5年以上前からICT施工を手がけているが、今年度を「i-Construction 元年」と定め、積極的に推進をはかっている。受注先は国の直轄工事が7割、地方自治体と民間が3割だが、国の直轄工事はi-Construction指定に関わらず、受注者希望と合わせ100%ICT施工に取り組んでいる。
代表取締役社長の宮坂寿文氏は語る。「i-Constructionは、高齢化する熟練オペレータに替わって経験の浅いスキルを補い安全や品質、生産性を確保するものだが、将来的にめざすべきは完全自動化であり、ロボット化、無人化だ。これまで土木建設の分野では実現できなかった“現場のオートメーション化”といってもいい」。中でも最も優先するのは安全性向上のための自動化という。「もともと有珠山噴火の際、旧道路公団の現場を経験した時に自動化施工の必要性を強く意識した。以来、自衛隊や行政と連携しながら周辺地域の諸災害に備えるため24時間の防災体制を敷いており、防災や災害復旧の視点からも建設機械の自動化が必要だ」同社は北海道で初めて「レジリエンス企業」として第1号登録を受けている。防災工事や災害復旧工事に積極的に取り組むのも、同社のこうした経営方針に起因する。
昨年の台風で決壊した堤防を復旧する「札内川左岸大正橋下流地先災害復旧工事」では、本堤防の築堤工事が行われている。現場では2台のZX200X-5Bおよび締固め管理システムが稼働。日立建機では3次元施工図データ作成のほか、ZX200X-5Bへの転送データ変換を担い、法面整形をマシンコントロール機能がサポートしている。所有機には、日立建機からの提案により、後方視認支援装置「ブラクステール」も搭載、安全面を更に強化した。3次元データの活用により、本堤の盛土および仮設堤の撤去土の数量も的確に算出できている。