循環型社会の実現に向けた基本的な考え方
日立建機グループは、サーキュラーエコノミーに貢献するバリューチェーン事業を通じて資源循環型ビジネスへの転換をめざしています。
「資源循環型ビジネスへの転換」は、日立建機グループのマテリアリティとなっています。資源を採掘し、利用しては廃棄する、持続可能性のないビジネスモデルはいずれ限界を迎えます。
日立建機グループは、再生・中古車・レンタル・サービスといったバリューチェーン事業を通じて、廃棄量をさまざまな角度から減らす4つのR(Reduce・ Reuse・Recycle・Renewable)の活動を、グループ全体で取り組んでいます。
製品の利用過程においては、新車がお客さまの手に渡り、利用されて、その役目を終えるまでの「 製品ライフサイクル 」を1.5倍にすることをめざして、バリューチェーン事業を拡大し、顧客価値の最大化と資源消費の最小化を両立していきます。 具体的には、当社の強みである「ConSite」や部品再生、本体再製造を活用することで、車体稼働年数を10年から15年に長期化することをめざします。このことにより、廃棄物の削減、投入資源の抑制を実現し、最終的にはCO2排出量の削減にも貢献します。
水資源については、事業活動に伴う水使用量 (淡水も含む)の削減、水の循環利用により、有効活用を図っています。水使用量は、ロボット化や塗装条件などの最適化を図ることで削減を進めています。水の循環利用については、塗装設備の使用水の長寿命化や循環水の利用拡大などにより節水を推進しています。
資源循環を実現する日立建機の製品とサービス
部品再生事業
建設機械は、さまざまな環境下で長時間稼働するため、部品交換や修理に掛かる時間はお客さまの現場の生産性を大きく左右します。 日立建機は、1998年より油圧ポンプや油圧シリンダ、走行装置などの部品を再生する事業をグローバルで展開しています。
お客さまから回収した部品を 分解、整備、検査を行い、必要に応じて消耗品を交換するなどして、新品と同等の機能と性能を保証する再生部品を造っています。高度な再生技術によって、部品の寿命を長くすることで、資源の投入量を抑制することができます。また、これまで蓄積したノウハウを活かし、廃棄対象の機体を新車同等にまで再生、これを中古車として販売することで新 品材の使用削減を図り、新たな資源循環型ビジネスモデルに貢献していきます。日立建機ザンビアでは、超大型油圧ショベル(EX1200)を新車同様に再生するだけでなく、製品のマイナーチェンジまでを反映させた、価値の高い製品として再生させる取り組みも行っています。
再生品生産量:生産した再生品の部品ユニット数
レンタル・中古車事業
日立建機が認定するレンタル機「PREMIUM RENTAL」 の使用期間中に、「ConSite」を通じて高度なメンテナンスを行うことで、機械が稼働する寿命を延ばし、その機械をメーカー保証付きの良質な中古車「PREMIUM USED」として新興国へ流通させることで、廃棄される機械数の低減に寄与しています。
部品・サービス事業
「ConSite」のメニューを通じて、IoT を活用した適切なメンテナンスにより機械の長寿命化に取り組んでいます。同時に機械稼働を一台ごとにモニタリングし、作業改善提案を通じて燃料消費量低減への 提案を行い、CO2削減にも貢献しています。
製品のレトロフィット対応
日立建機では、納入した機械に、システムや機器を追加することで、機械の性能を向上させることができる製品開発に努め、お客さまのライフサイクルコスト低減と省資源に貢献しています。
例えば、リジッドダンプトラックEH AC-3シリーズは、現在開発中の鉱山用ダンプトラック自律走行システム(AHS)に必要なシステムを追加搭載することで、鉱山運営の自動化に欠かせない「AHS仕様機」としてレトロフィットすることが可能です。 また、ICT施工ソリューションの中核を担う、ICT油圧ショベル ZX200X-6は、2D(2次元)仕様機をご使用の場合でも、3D(3次元)機能専用機器を追加装備することで、人工衛星からの測位データを活用する3D仕様へのアップグレードが容易にできます。
水リスクへの対応
水は大切な資源であり、地域によって使える水量や水質が異なります。日立建機グループでは事業活動の中で水ストレスレベルの高い地域を特定するために、世界資源研究所(WRI)が発表したAQUEDUCT(アキダクト)と世界自然保護基金(WWF)のWater Risk Filterツール、およびローカルデータを用いて、国内外の主要生産拠点の水ストレスレベルを定量化、水ストレスの高い地域を特定しました。 21拠点中、インドネシアと中国にある2拠点が、水ストレスの高い地域となっています。
水資源有効活用への取り組み
今後の取り組み
資源循環については、グローバルでの再生事業の拡充・発展のため、土浦工場(茨城県土浦市)および常陸那珂工場(茨城県ひたちなか市)に分散していた再生工場を、2024年度から播州工場(兵庫県加古郡)に集約・統合し、部品再生および車体再製造事業の拡大と効率化を図ることとしました。この再生事業の集約により、現在2つの工場にある再生工場の施設・スペースを利活用し、新車・コンポーネントのさらなる生産能力増強を実現します。
水資源については、水の使用量削減と循環利用をさらに推進するため、埋設配管の地上化による漏水対策、処理水の再利用による循環再利用率向上などを行っていきます。