環境価値創造への取り組み
日立建機グループの製品と環境価値
日立建機グループは、2021 年に「事業との関連性」と「社会の期待」の観点からマテリアリティ(重要課題)を再編成し、「気候変動に挑む製品・技術 開発」「資源循環型ビジネスへの転換」をマテリアリティとして特定しています。 脱炭素・循環型社会の実現をめざし、製品とソリューションの面から、事業を通じた環境価値創造に取り組んでいきます。
環境リスクと機会
日立建機グループでは、環境と調和した持続可能な社会の実現を経営の最優先課題の一つとしています。将来予測や今後の事業環境への影響などについてのリスク評価やシナリオ分析を行うことで、将来起こりうる気候変動が及ぼす損失の回避または軽減を図るとともに、新たな事業を創出する機会としての可能性も模索しています。気候変動と水リスクが事業に及ぼす影響を把握して、リスクの最小化や機会の最大化を実現するための取り組みを行っています。
1. 気候変動リスクと機会
日立建機は社内タスクフォースを組織し、1.5℃シナリオでは、政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク、評判リスク、4℃シナリオでは、物理的リスクの急性リスクと慢性リスクを定量的に分析して、財務影響が大きいリスクと機会を抽出しました。1.5℃シナリオと4℃シナリオにおける代表的なリスクと機会は、以下になります。
規制によるリスクと機会(1.5℃)
世界では燃費、CO2、大気汚染に関する規制や炭素税などの規制が導入されてきており、製品や工場での事業活動に影響を及ぼしています。一方で、製品・サービスの脱炭素技術開発、省エネルギー性能、排出ガスのクリーン化を推進することは、製品競争力や事業機会に繋がると考えています。各国・地域で採用されている規制や税制が、日立建機の製品、生産などの事業活動のリスクや機会になると考えています。
物理的影響によるリスクと機会(4℃)
近年多発している異常気象は、地球温暖化の影響だと言われています。大型台風や川の氾濫などにより、工場での生産活動、製品・部品の運搬など、サプライチェーンへの影響も出ています。このような異常気象の影響は、事業継続でのリスクになると考えています。 一方で各国・地域では、気候変動による影響に対する被害の回避・軽減策の適応を推進し始めています日立建機グループが今まで取り組んできた防災・減災技術や製品・ソリューションは、適応での貢献になると考えています。
2. 水関連によるリスクと機会
水関連によるリスクと機会への取り組み
日立建機グループでは、水資源の不足は気候変動と同等の重大な環境課題と認識しています。水資源の浪費や汚染は、自社の生産活動だけでなく地域社会にも重大な危機をあたえることとなります。日立建機グループは生産工場単位でWRI Aqueduct Water Risk Atlas Toolによる取水リスクの分析を行い、その地域での水の重要性を十分理解した活動を行ってきました。 水リスクとしては、生産拠点のある地域の取水と排水と捉えています。取水量は原単位で管理し、また排水では自主基準値を設け、場内処理を徹底することで対応を行ってきました。 一方世界では、水不足や洪水などに対応するインフラ整備が求められてきています。日立建機では、水へのアクセス、森林保全なども含めたインフラ整備へ製品・ソリューションを通じた貢献を行うことが、事業機会の拡大につながると考えています。
資源循環型ビジネスへの転換
資源を採掘し、利用しては廃棄する、持続可能性のないビジネスモデルはいずれ限界を迎えます。日立建機グループでは、高度な再生技術によって資源の投入量を抑制する部品再生事業や、メンテナンスを行い機械が稼働する寿命を延ばし廃棄数低減に寄与するレンタル・中古車事業。そしてIoTを活用した適切なメンテナンスによる機械の長寿命化に取り組む部品・サービス事業で構成される「バリューチェーン事業」を通じて、資源循環に貢献しています。